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映画 羅生門

'09,7,31深夜放映 毎日テレビ「映画へようこそ!」

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『羅生門』1950年 大映
オリジナル88分、放映時間110分、放映本編時間88分
途中までのあらすじ。
時は平安時代。土砂降りの中、荒廃した羅生門で雨宿りをしていた杣売り(木こり)
と旅法師。そこへ新たに下人が走り込んで来た。考え込んでいる二人に下人はその訳
を訪ねる。二人はある不思議な事件について語り始めた。

ある日、杣売りが山で武士の死体を発見し、検非違使に届け出た。三日前に生存中の
武士とその妻を目撃したと旅法師が証言する。
その武士の馬や武具を所持していた盗賊の多襄丸が、殺害の下手人として連行されて
きた。多襄丸は女を奪うため、武士を殺したと証言。

生き残っていた武士の妻が検非違使まで連れてこられた。彼女の証言は多襄丸の証言
と全く異なっていた。そこで武士の霊を呼んで証言させようと、巫女が呼ばれる。巫
女と通じて武士の霊が語った内容も、また他の二人とは異なっていた。

一つの事件に関わった三人の証言がどれも異なっている。果たして誰が事実を言って
いるのか・・・





1951年ヴェネチア国際映画祭グランプリ金獅子賞。終戦間もない当時の日本人に、
大きな希望と勇気を与えたそうです。しかし、当時国内での上映ではあまり人気も無
く、ヴェネチアには関係者は誰も行ってなかったとか。制作会社の大映社長永田雅一
は「この映画はわけがわからん」と批判していたが、受賞後は自身の功績を自慢し、
後年、黒澤はこのことをまるで『羅生門』の映画そのものだ、と語ったとの事。



<ーー以下、ネタバレ含みます。未見の方は読まずに飛ばされることを推奨ーー>

原作は芥川龍之介の「藪の中」と「羅生門」を基にしております。
本作品について読解感想、分析評論は数多く本にもなり、ネットでも見受けられます。
芥川の原作においても、この映画においても、真相についての論争は昔から活発に行
われました。映画においては、杣売り(志村喬)による第四の証言が正しいとする考
えが最も多い様に思いますが、私個人の考えでは、絶対的な答えはないと思ってます。
杣売りでさえも、果たして本当の事を言っているのか?確証はありません。

誰もがウソをついており、誰もが本当の事も言っている。部分部分でウソが、真実が
あるのだと思います。

真実は藪の中、とかいう言い回しが原作小説からきていますが、映画もやはり、真実
は藪の中であり、答えは各自が導きだせばいいと思ってます。黒澤監督が明快な答え
を描いていないのですから。

盗賊は勇猛果敢な男でありたいと、
妻は事件に巻き込まれた悲劇の女であり、貞淑な妻でありたいと、
侍は名誉を重んじ、面目を保つために、、、、という人間のエゴ。
この映画こそ人間というものを描いている、ということで、特に欧米の映画関係者で
は「この映画が自分のベストムービーだ」と今でも言う人が多い、評価の高い作品。
議論好きな向こうの人には、この映画の構成がお気に召すのでしょう。一つの事象を
複数の人物の異なる視線で描き、どれが真実か観客を混乱させる脚本の構成は、後に
「羅生門スタイル」とも言われ、同様の構成で創られた映画作品は数知れず。例えば、
「戦火の勇気」「バンテージ・ポイント」「HERO/英雄」「告発のとき」などなど。

ラストの赤ん坊エピソードは蛇足であると評価が分かれますが、やはり必要ですよね。
人間の愚かさ、したたかさ、哀れさ。善と悪が同居し、己のエゴで嘘をも平気でつく
・・・それでも、人間というのは信じる価値のあるものである。そう、黒澤監督は言
いたかったのだと私は考えています。

以上、ネタバレ終わりです。一部某質問サイトに私が投稿した文を引用しました>



初めて太陽を映画内に捉えたといわれる本作品の撮影時エピソードも事欠きません。
白黒ならではのコントラストも強調する為に、レフ版の代わりに鏡を用い、樹や草や
葉などは、黒のスプレーで塗りつぶしたという、強烈な光と影を感じさせる藪の中の
シーン。水を使いすぎて周辺が一時断水騒ぎになったという豪雨の羅生門シーンでは、
雨の日にさらに水に墨汁を混ぜ、ポンプ車で放水して撮影されました。

さらに当時としては異様に多いカット数が生み出す躍動感も本作品の魅力を高めてい
ます。黒澤明監督だけではなく、撮影の宮川一夫、美術の松山崇、音楽の早坂文雄、
共同脚本の橋本忍など、多くの才能あるスタッフに素晴らしい役者陣が結集して創ら
れた、間違いなく映画史に残る傑作なのです。

因に、法医学者の上野正彦氏は自分の専門分野からの観点では答えは明快だと、著作
で述べられています。興味がある方は謎解き本「「死体」を読む」を読まれては。


●キャスト
三船敏郎:多襄丸(盗賊)
森雅之:金沢武弘(武士)
京マチ子:真砂(武士金沢の妻)
志村喬:杣売り(遺体の第一発見者)
千秋実:旅法師(生前の武士の目撃者)
上田吉二郎:下人(雨宿り時、杣売りと法師の話の聞き役)
本間文子:巫女(金沢の霊を呼び、証言をおこなう)
加東大介:放免(多襄丸を発見し、検非違使に連行する)

●スタッフ
監督:黒澤明
原作:芥川龍之介
脚本:黒澤明 / 橋本忍
企画:本木荘二郎 / 箕浦甚吾
撮影:宮川一夫
音楽:早坂文雄
美術:松山崇
編集:西田重勇
録音:大谷巌
照明:岡本健一

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テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

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