TATEVISION

tateの観た映像、読んだ本、思った事、、、

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

特選映画:Vol.4 ある日どこかで

『ある日どこかで』"Somewhere in Time"('80) 103分

sit_poster.jpeg

知り合った方との会話で、私が映画好きだと知るとよく聞かれるのが「何かオススメ
の映画あったら教えて」という質問。会話の流れでのおざなりな質問ではなく、本当
に興味があって聞いているな、と思ったら男女問わずに勧めるのがこの作品。実際に
見た人の好評率100%です。

途中までのあらすじ…
脚本家志望の大学生リチャード・コリアーの処女作上演後、成功を祝う仲間達の中に
見知らぬ老女がいた。彼女はリチャードに「帰ってきてね(Come back to me)」と言
い残し、懐中時計を手渡すと静かに去っていった。

8年後。脚本家として成功したリチャードだが、スランプに陥っていた彼は車に乗り
旅に出る。かつて通った大学近くへのドライブの途中に偶然通りかかったグランド・
ホテルに宿泊する事にしたリチャードは、時間つぶしにホテルの史料展示室に入った。
そこで壁に掛かった一枚の若く美しい女性の写真に出会い、心を動かされる。その写
真は1912年、ホテル内の劇場で公演をした女優のものだった。その女性に激しく興味
を抱いたリチャードは地元の図書館に通い、彼女について調べ始める。
写真の女性はエリーズ・マッケナ、当時人気のあった女優だが、1912年以降、突然に
活動中止し隠遁生活を送ったらしい。晩年の彼女の写真を見つけたリチャードは驚愕
する。8年前、謎のメッセージと時計を手渡したあの老女だった。しかも、あの日、
彼女は亡くなっていた。

エリーズの秘書を尋ねたリチャードは、彼女の好きな曲が自分の好きな曲と同じであ
ること、彼女の愛読書が「時の流れを超えて」という自分の学生時代の恩師が書いた
本であった事を知り、運命の必然を確信する。彼女に会いたい。会わなければならな
い。リチャードは彼女の愛に応えて時空を超えることを試みる・・・





時間テーマのSFと恋愛ドラマは相性がいいとよく言われますが、その最たる作品。
劇場公開した当時、何故か客が入らずに多くの映画館で1~2週間で打ち切りとなり
ました。その後、ビデオソフトのレンタルが普及し始めた頃、口コミでこの作品の再
評価が高まってカルト映画の仲間入りをします。

世界中でこの映画は愛されています。ファンクラブも'90年に結成され、毎年10月頃、
舞台となったグランドホテルはアメリカミシガン州のマキナックアイランドに実在す
るのですが、ここで毎年コンベンションが行われているそうです。心からこの映画を
愛するファンが世界中から集まり、スタッフ、キャストがゲストとしてやってくる。
想像しただけで、なんと素晴らしいイベントでしょうか。

原作・脚本はリチャード・マシスン。SFファンタジー・ホラーの書き手として有名。
映像化された作品も多く、本作以外にも
「激突!」- Duel (兼脚本)
「吸血鬼(地球最後の男)」 - I Am Legend
「縮みゆく人間 」- The Shrinking Man
「夜の訪問者」 - Ride the Nightmare
「地獄の家」 - Hell House
「奇蹟の輝き」 - What Dreams May Come
などが映画化されました。また、有名なテレビシリーズ「ミステリーゾーン(トワイ
ライトゾーン)」でも「言葉のない少年」「スティール」「消えた少女」「死の宇宙
船」「消えていく」「遠い電話」「第三惑星」など、多くの作品で原作、脚本を担当
しました。さらに映画版「トワイライトゾーン/超次元の体験」第3話「こどもの世界」
第4話「2万フィートの戦慄」もこの人の脚本です。
最近では、「新トワイライト・ゾーン」で映像化された「欲望のボタン」がキャメロ
ン・ディアス出演で「死を招くボタン・ゲーム」として映画化、09年10月米国にて
公開されます。

実はこの「ある日どこかで」、原作者マシスンの実体験が基になっています。マシス
ンが家族旅行中にネバダ州ヴァージニアシティのオペラハウスに立ち寄った時、そこ
に陳列されていた資料の中にある一枚のポートレイトに心を奪われます。彼女の名前
はモード・アダムズ。この女優について調べ始めたマシスンは、彼女と彼女のマネー
ジャー、チャールズ・フローマンの生涯に興味を持ちました。そう、まさにマシスン
は本作の主人公リチャードと同じなのです!

創元推理文庫から出版されている原作には、モード・アダムズの写真や経歴が掲載さ
れています。エリーズに負けない魅力的な女優だったみたいですが、舞台のみで映画
には出演されていませんので、動く彼女を観る事は出来ません。ネットで検索すると
何枚か画像が出てきました。また、あのミュシャのポスターモデルとして描かれてい
ます。wikiで、「アルフォンス・ミュシャ」のページに掲載されているのがそうです。

m_adams_01.jpgm_adams_03.jpg
m_adams_02_c.jpgm_adams_04.jpg


因に、マシスンは本作に1カットだけカメオ出演しています。リチャードがヒゲを剃
り終えて廊下に出て来た時に出くわす宿泊客の役。

原作では舞台となるホテルは、サンディエゴにあるホテル・デル・コロナードです。
このホテルは19世紀末から開業しているアメリカ最大の木造建築物で、映画「お熱い
のがお好き」「トップガン」などの撮影にも使用されました。しかしながら、周辺の
開発が進み、本作品では1912年のロケをするには問題がありました。

そこで選ばれたのがグランド・ホテルでした。このホテルがあるマッキナック島では
1902年以来、自動車の乗り入れが規制されており、道路や周辺環境が当時そのままに
保存された状態だったのです。おかげで、撮影中のスタッフ、キャストは寄宿舎での
合宿状態、移動は馬車や自転車を使わなければならず、大変だった模様。ですがその、
のどかで素晴らしいロケーションのお陰か、後にスタッフが3組も結婚したそうです。


主演はクリストファー・リーヴ。「スーパーマン」('78)の俳優としてあまりにも有名
です。'95年に乗馬中に転落、脊髄損傷により車椅子生活となった後も芸能活動は続け
ていますが、むしろクリストファー・リーブ財団を設立、脊髄再生医療推進と麻痺者
のための福祉活動を熱心に行った実生活が知られていますね。残念ながら、2004年
10月9日、心不全を起こし52歳で亡くなりました。

エリ-ズを実に魅力的に演じたのはジェーン・シーモア。ロジャー・ムーアがジェー
ムズ・ボンド役を演じた初の作品「007 死ぬのは奴らだ」('73)でボンドガールを演
じました。NHKで放映されたドラマ「ドクタークイン 大西部の女医物語」の主役で覚
えている人も多いかも知れません。最近はあまりお目にかかりませんが、アメリカの
テレビドラマ、未公開映画にいろいろ出演されているようです。しかし、極論ですが、
本作品一本のみで彼女は映画史に残るでしょう。それ以上に多くの映画ファンが主人
公リチャードの様に彼女に惹かれ、忘れ得ぬ存在となったことは間違いありません。
本当に輝くばかりに美しいヒロインの姿がここにはあるのです。
数多くの女優とオーディションを行いましたが、恋の経験は?と聞かれて、彼女だけ
が「No 」と答えたそうです。これが決め手では無いですが、彼女がこの役をつかむ
きっかけにはなったエピソードです。

エリ-ズのマネージャー、ウィリアム・F・ロビンソン役を演じるはクリストファー・
プラマー。ミュージカル映画の傑作「サウンド・オブ・ミュージック」のトラップ大
佐はこの人です。他に「トリプルクロス」「空軍大戦略」「ピンク・パンサー2」等。
近年も「ドラキュリア」(00)でヴァン・ヘルシングを演じたり、「ナショナル・ ト
レジャー」等精力的に活動。テリー・ギリアム監督の新作にしてヒース・レジャーの
遺作「イマジナリアム・オブ・ドクター・パルナッサス(原題)」にも出演していま
す。「パルプ・フィクション」「フィッシャー・キング」のアマンダ・プラマーは娘。

監督ヤノット・シュワルツJeannot Szwarc(日本語表記ではジュノー・シュウォーク
ジーンノット・シュワルクなどもあり)は「燃える昆虫軍団」('75)「ジョーズ2」('78)
「スーパーガール」('84)等の映画を監督していますが、最近はテレビでの活動が主で、
「ヒーローズ」S1#14,S2#06,S3#07,#12,#22,や「ボーンズ」S2#19,S3#13,
S4#04、他に「コールドケース」も何本か担当しています。

この映画においてとても効果的に使用された曲は、ラフマニノフの「パガニーニの主
題による狂詩曲」第18変奏。その他の甘美で切ないスコアはジョン・バリー。制作費
が半減されて低予算の中、苦しいやり繰りをしていたスタッフはまさか彼のような、
有名な音楽家が仕事を受けてくれるとは思わなかったのですが、ジェーン・シーモア
が彼と仲の良い友人だったのが縁で、この映画の音楽を担当しました。



本作の魅力を語る上で素晴らしいエピソードを、映画イラストライターの三留まゆみ
氏が以前コラムで書かれていました。記憶のなかで不完全ですがぜひ紹介したいと思
います。(ギリギリ、ネタバレにならないとは思いますが未見の方は以下数行は飛ば
された方がよいかと)
ーーーレンタルビデオも普及していない頃、本作品を観たくて遠方の名画座にまで出
かけていった。そこに2~3人のおばちゃんが近くの席に座って来た。ぺちゃくちゃ
喋っている。
「いやだな」と思ったが映画も始まったので席を移る訳にもいかず、そのまま観始め
た。いつしかおばちゃん達もすっかり黙っている。そしてあのクライマックス。おば
ちゃんの一人が涙声でスクリーンに向かって言った。「行かないで」・・・

この映画をどう語ろうとも、このエピソードには勝てそうもありません。
実は私も初見のとき、あのシーンで思わず悲鳴に近い声をあげてしまったのでよくわ
かります。その気持ち。
(田中元さんのブログ「五月のドラゴンdiary」によると、02年8月25日の朝日新聞
のコラムに掲載されていたとのこと。しかし、私はもっと前に読んだ記憶があるんで
すよねー。それも雑誌だったような・・・三留さんが同じネタで書かれたのかな?)


また、本作は93年には演出・吉川徹、主演・堤真一、床島佳子で舞台化され、宝塚
歌劇団では95年月組公演で、天海祐希・麻乃佳世の出演で舞台化されています。

DVDには撮影秘話(原題Back to 'Somewhere in Time')が特典として収録されていま
すが、これは必見です。この映画に関わったスタッフ・キャストの熱い思いが伝わっ
てきます。上記にて触れましたが、本作は予定の半分(約400万ドル)という低予算で
製作されました。それでも関係者の情熱が結実してこの素晴らしい作品が創られたの
がよく分かります。「現代はコダック、過去はフジのフィルムを使用した。フジはソ
フトで淡い感じになるので」という技術的な事とか、ジェーン・シーモアが「こっそ
り抜け出してクリストファーの飛行機でデートした」なんて微笑ましいエピソードも
一杯です。(約64分、日本語字幕付き)

また、オーディオ・コメンタリーがメニュー画面からでは、日本語字幕が無いように
見えますが、オーディオ・コメンタリーを選択して再生中に字幕を切り替えると、問
題なく日本語字幕が出ます。メニュー画面の仕様ミスですね。

コメンタリーによると続編の構想もあったそうですが、創られずでよかった、はず。

とにかく、未見の方は是非。タイムトラベルものの傑作、優れたラブストーリーです。

sit_001.jpg

sit_003.jpg

Copyright(c)1980 UNIVERSAL Studios.


キャスト (DVDの日本語吹替)
クリストファー・リーヴ …リチャード・コリアー(寺杣昌紀) - 脚本家
ジェーン・シーモア …エリ-ズ・マッケナ(田中敦子) - 女優
クリストファー・プラマー…W・F・ロビンソン(有本欽隆) - エリ-ズのマネージャー
テレサ・ライト …ローラ・ロバーツ - エリーズの秘書
スーザン・フレンチ …晩年のマッケナ
ビル・アーウィン …老アーサー(松岡文雄) - ホテルのボーイ
ショーン・ヘイデン …アーサー少年時代 - 1912
ジョージ・ヴォスコヴェック …フィニー教授 - リチャードの大学当時の哲学の先生
ジョン・アルヴィン …アーサーの父 - 1912
エドラ・ゲイル、オードリー・ベネット、ウィリアム・H・メイシー、他

スタッフ
監督: ヤノット・シュワルツ Jeannot Szwarc
製作: スティーヴン・ドイッチ  Stephen Deutsch
原作: リチャード・マシスン "Bid Time Return"(SOMEWHERE IN TIME)
            (日本語題名「ある日どこかで」 創元推理文庫)
脚本: リチャード・マシスン Richard Matheson
撮影: イシドア・マンコフスキー
編集: ジェフ・ガーソン
音楽: ジョン・バリー John Barry
ある日どこかで"Somewhere in Time"('80)ユニバーサル映画 日本公開'81年1月
[配給 日本ヘラルド]


テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://tatevision.blog34.fc2.com/tb.php/87-e25de9df
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。