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佐野元春のザ・ソングライターズ  Vol.3・Vol.4

'09/7/18,25 放映 NHK教育

佐野元春のザ・ソングライターズ  ゲストさだまさし(Vol.3・Vol.4)

「ソングライター=現代の詩人」
「ポップソングは時代の表現であり、時代を超えたポエトリー」
「テーマは歌詞。音楽における言葉が一体どのように生み出され、多くの人に届いて
いくのか。学生達と探求していきます」

そんな佐野元春の言葉で始まる「ザ・ソングライターズ」。二人目のゲストはさだま
さし。前回の小田和正と比べてゲストが饒舌であるせいか、より興味深い内容でした。
全てを紹介したいですが、書き切れないので抜粋で。


ポエトリーリーディングは佐野が最も好きな歌 檸檬(1978)。

僕がこの詞に感銘を受けるのは、読んでる先から次々と映像が浮かんでくる事ですね。
 ー下敷きに梶井基次郎の「檸檬」があるのはもうお気付きだと思います。僕は青春
 時代、この短編小説にものすごい刺激を受けてね。この人の小説を読んでいると、
 僕には絶対に書けない、と思うのね。それは何故かって言うと、自分の命を見切っ
 てる人の視線なのね。

覚悟、というか・・・
 ー覚悟がある。諦めもある。でも、捨ててない。これが命の一番重要なところじゃ
 ないか。そういうものをどう、歌に出来るかなって。それが一つ。それから…春先
 の歌なんだな。これ。登場人物の気持ちがせわしないんだな。春先のせわしなさ。
 何も安定していない不安ばかりの中でね。「スクランブル交差点」っていうのが歌
 詞カードに書かれた、多分最初の歌だと思うんだけれども、そういう自分の見たも
 の、感じたもの、映像。…快速電車ね。正確に言うと色は違うんだけれども、投げ
 落とす檸檬。まあ僕は聖橋から檸檬を投げ落とした事、一度もないけれど、気持ち
 の中で何度も投げてみた。そうするとここで走って欲しい電車の色って、青じゃな
 いんだな。なんか、レモンイエローと、赤が、走って欲しい。

それは聞き手も黄色と赤の対比、コントラストですね。それが思い浮かんだ、途端に
ストーリー全体に色彩が見えてくる・・・

 ーそれとね、匂い。僕は歌でとっても大事だと思うのは、匂いなの。あの時にこん
 な匂いがした、っていうのはつぶさに自分の経験を振り返ってみると、皆覚えてい
 るはずなんだ。例えば、家に帰った時にバーンって押し入れを開けた時の匂い、て、
 今、皆それぞれファーって匂うのよ。匂いってとても大事。その匂いを喚起させる
 こと。それから、色が見えた方が脳が活性化される感じがする、僕はね。
 それと・・・温度。気温。雨もさ、同じ雨でも春の雨と、秋の雨じゃ冷たさが違う
 じゃない。それを使い分けるってこと。それが分かってる人には、その雨の冷たさ
 まで伝わる。雨が降って来た時に、どこに降るかで匂いも違う。広大な緑の中に降
 る雨、って言っただけで、みんなの中に草の匂いがしてるはずなんだ。都会のカリ
 カリに乾いた、アスファルトにターン!って雨が降って来た時のフッ、と匂ってく
 るアスファルトの匂いがある。それから、アスファルトに雨がポッポッポって雨が
 滲んで来たときの色がある。これだけでもう、雨は表情を持っているってことなん
 だよね。じゃあ、どんな雨がこれを伝えるのにふさわしいのかって。
 大枠で何を伝えたいのかって、僕、何も話していない。だけど表現するにはこうい
 う方法があるよっていうことは、こんなにもあるのね。頷いてくれる人がいっぱい
 いてさ、結構ヒントになったよね。次、創る時いい勉強なったでしょ。もっと良い
 こというから(笑)。

「まほろば」という曲について・・・これは実際に奈良に行って書かれたということ
ですが、詞を書く時には、現地に行って取材したり、フィールドワークを通じて、ラ
イティングするという・・・

 ーあの、奈良がとっても好きなんです。何故かっていうと、奈良っていう所は万葉
 の時代からこの国の漠然とした形を作った町でしょ。ですから流れている粒が、大
 きいんだな。・・・ある時、春日大社に行ってね。その奥の原生林がある。春先に
 馬酔木の花が、ワァっと咲いてるんだね。馬が酔う木、って書いて馬酔木(アシビ)
 でしょ。これ、反則なんだけれど、僕は「まよいぎ」と読ませたのね。いけないん
 だよこんなことしちゃ。
 まよいぎ、って言葉に出した途端にね、別の字があてはまるでしょ。迷う、という
 字に樹木の木。皆そうだと思う。ここが付け目なんだよね。こういうパラドックス
 を時々仕掛けるね、さだまさしは。だから気をつけた方がいい。
  (♪~春日山から飛火野辺り  
     ゆらゆらと影ばかり 泥む夕暮れ
     馬酔木(あしび)の森の馬酔木(まよいぎ)に
     たずねたずねた 帰り道~)


定型質問。
好きな言葉
 ー捨てない、だね。諦めない、って言ったほうがいいかも。

好きな映画
 ーうーん。難しいな・・・
ご自身も映画を創られましたが・・・
 ーその話は、今日はするまい。
分かりました(笑)
 ーキレイな映画が好きだね。例えばね。ジェーン・フォンダが撮った「黄昏」※。
  ホロホロと泣く映画で言えば「ニューシネマパラダイス」。
(注:「黄昏」(81)は監督マーク・ライデルであるが、ジェーン・フォンダが
父親、ヘンリー・フォンダの為に戯曲の映画化権を買い取った。そういう意味
でさだの言葉は決して間違ってはいません。)
(若い人たちの為に付け加えると、さだは監督・主演を兼ね映画「長江」(81)
を製作したが、多額の借金(約30億円とも)を抱える事となった。しかし、その
映像は今では貴重な歴史的資料となっている)


ワークショップ。学生達と共に歌を作る試み。
 ーでも、これはひな形造りであって、このように作るっていう・・・
ノウハウじゃない。
 ーノウハウじゃない。そこだけは誤解しないで。
 ーそれじゃあ、歌を歌いたくなる時ってどんな時だろう?

学生A、悲しい時に。ということで最近、祖父が死んだ時と。
さだ、学生に質問を重ねる。「自分が答えを出してはいけないことを聞きます」
おじいちゃんの思い出の残骸。思い出の色は。茶色。畑の色。だいこん。大根の花。
黄色、白。咲く時期は夏。
 ーぼくはね、こうなったら音を探す。真夏の大根の花の色ってどんな音だろう。

ギターを取り出し簡単な音をつま弾くさだ。
 ーどんな言葉で歌い出す?おじいちゃんの、一番印象的な身体の部分ってどこ?顔
 以外で。
学生A  曲がった腰、ですね。
 ー背中、って言ってもいいね。
 ー今のシチュエーションを聞いて、一行目に何かポッ、と思い浮かぶ言葉って出て
 こない?誰か?書き出しの一行。
 ー夏ってことはどういうことだか。頭の中でイメージして。影は濃いよね。真上か
 ら落ちてくるよね。短い、黒い影だよね。背中の曲がったおじいちゃんがいて、風
 は吹いてる?どんな匂いがする?その一行はどれがふさわしいか。つまり、これが
 歌い出しなんだよ。これは百人いたら百通りの言葉が出てくるべきだ。あえて僕か
 らは言わないけれども。

学生B  第一行ではなく、イメージするビジョンとしてまず空を見上げ、それから
畑を見下ろし、記憶が蘇っていく、今から過去に遡って行く、という感じで・・・
 ーいいね。うん。すごくいいよ。色は?何色から入る?
学生B  空の青と雲の白・・・
 ー雲は何雲?この為には雲の形で名前も変わるっていうことも勉強しなくちゃいけ
 ない。夏の盛りなら、やっぱり入道雲かな。青い空だけは言いたくない。くやしい
 から。じゃあ雲に色つけよう。
学生A  ピンク。夕暮れ時で・・・(別の女子大生がピンクの話をしてたので)
 ーもっと良い色ないか(笑)?
学生A  グレープフルーツ。ピンクグレープの・・・
 ーグレープフルーツのような雲でいいじゃない。グレープフルーツ色の雲。・・・
 なんか・・・いいカモ。

さだ、簡単なフレーズをつま弾き、そこに「グレープフルーツの…」の言葉を乗せる。
 ーグレープフルーツの…もう、グレープフルーツの、が歌詞になってるじゃない。
 なんか、特別な響きになったなあ。今、この瞬間に「おおっ」と思った人、何人か
 いる。そういう人にはこの歌が届く。

さだ、続いて、「色をした雲が…」と乗せていく。
 ーイントネーション、大事だよ。

さだ、「グレープフルーツの色をした雲と おじいちゃんの背中…」と続けて音に言
葉を乗せていく。
 ーこれだけで、一つの空気感はでる。君の少年時代に見た風景が今、形になった。
 これで歌の入り口としては充分な体裁だと思うね。
 ーあと、これに必要なのは君の率直な気持ちだと思うね。最後の一行でいいから、
 「おじいちゃん、会えなくて寂しいよ」。一言あるだけでこれが全部生きてくる。
 今、君の気持ちを代弁した。申し訳ないけどね。時間も考えて代弁した。自分で辿
 り着くべき、キモはここだよ。
 ー僕は、名曲が出来たと思う。ごっこに過ぎないけど、これは君の為の歌。

さだ、ギターを弾きながら歌う。 
  ♪~グレープフルーツの 色をした雲と
    おじいちゃんの 背中
    足もとに 大根の花
    おじいちゃん 会えなくなってさびしいよ~♪

場内拍手。
素晴らしい・・・
 ーまあ、なんぼでも出来るさあ(笑)


質問コーナー。
「さださんは曲を作る時に売れる曲を作ろうと思って曲を作っているのか、それとも
作り終えた時に「あ、これは売れるな」と思って作っているのか、どっちでしょう?」
 ー売れる、売れないは考えた事は無かった。そりゃ売れたいよね。常に売れたらい
 いなとは思う。だけども、売れる為にこうすれば売れる、という計算は一切しない。
 それをするとね、時代を追いかけることになる。例えば今、皆が興味を持っている
 ことを煽れば売れるわねえ。その時は。だけど、僕の歌の目的はね、10年後に照れ
 ずに歌えるかなって。10年後に照れないテーマっていうのは難しい。
 これは売れるだろう、と思っても売れないぞお。なぜ、この素晴らしさが分からな
 いんだろうって思うけどね。
 時々ね、「さださんそろそろヒット曲出してよ」って言うヤツいるんだよ。「お前
 買え」って言うんだよな。俺が買うんじゃないんだろって。とりあえず、さだの歌
 は出たら買っとくクセをつける。頼むよ(笑)。

「さっき曲を作られていて、何でも無い風景が、すごい懐かしい気持ちになるような
フレーズになっていました。さださんが自然と詞を聴かせるように意識している事っ
て何かありますか?」
 ー体温です。結局はね、人が歌を作り、人が聴くんです。その間に一番重要なのは
 体温だと思う。自分の温もり。
 人の心を壊すのは人でしょ。人の心を救うのも人なんだね。じゃあ何が壊し、何が
 救うかというと、言葉が救い言葉が壊すんだ。言葉は僕らにとって重要な武器なん
 だ。その言葉を簡単に使っちゃいけないという重みを、僕は歌作りで教わってるの。
 体温を伝える言葉をどう自在に使うか使わないかってことが、歌作りにとって、歌
 を発する人間にとってすごく重要な気がするよ。
「わかりました。自分も体温を大事にして、これからやっていきたいと思います」
 ーそう?うれしい。がんばって。

最後に佐野からの質問。
自分も詞を書いていて、よく多くの人に聞かれるのですが、貴方にとってソングライ
ティングとは何ですか。考えた事もなかったんですが、改めて真面目に考えてみると、
僕にとっては「自分を知る作業」。自分は過去どこに立っていて、今どこに立ち、こ
れからどこへ向かおうかというのを知る作業。自分の曲がスピーカーから流れて来て、
あ、自分はこんな考えを持っていたのか、自分の詩、曲から教えてもらう…

 ー佐野君の言葉は、僕の心にぴたっと落ちた言葉だった。自分を知る作業だって。
 もう一つ付け加えるなら、「自分を耕す」というのかな。耕しても耕しても同じよ
 うな歌しか出てこないって時、あったんだよ僕は。
 自分の心に釣り糸を垂らすような作業です。歌作りというのは。何を餌にするかは
 その人の人生観によって違うだろうし、かかってくる魚もその人の引き出しによっ
 て、全然違う魚が引っかかってくる。僕みたいに変なことばかり考えている奴は、
 「490円」を餌にして「犬」が釣れた訳だけどね(笑)。
 まさに自分を発見する作業。それは楽しくもあり恐怖でもある。・・・そうだね、
 耕す作業、死ぬまで。その為に歯食いしばって、カッコつけたことを言う。か。
 ・・・心にもないことは言わないけれど。


講義終了後・・・
 ー一所懸命、伝えたつもりだけどなあ。歌作りの難しさも楽しさも伝わったかなあ。
 グレープフルーツの…って歌った時の、皆のあっけにとられた顔が良かったね。
 「ええっ、メロディーになってる」って顔が。
ワークショップのところで、さださん、どーやって結論付けるんだろってハラハラし
て見てたんです。

 ーホント?
大丈夫かな、大丈夫かな、出来るのかなって。でも最後、見事にまとめてくれたんで。
感動しました。

 ーマァ~、良かった。どこかに着地出来て。心配したでしょ?
ホッとしました。ホッとしながら感動しました。

二人握手。
 ーわかるわ。ホッとしながらっていうの(笑)また。ぜひ。
 

次回ゲストは、松本隆氏。これは楽しみです。


 ←ゲスト小田和正(Vol.1・Vol.2)ゲスト松本隆(Vol.5・Vol.6)→


テーマ:TV番組 - ジャンル:テレビ・ラジオ

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