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佐野元春のザ・ソングライターズ シーズン4 Vol.11・Vol.12

'12/12/14,21 放映 NHK Eテレ

佐野元春のザ・ソングライターズ  第4シーズン(Vol.11・Vol.12)

「ホピュラー音楽のソングライターこそ、現代の詩人」
「ポップソングは時代の表現であり、時代を超えたポエトリー」

そんな佐野元春の言葉で始まる「ザ・ソングライターズ」。
4thシーズンのラストはゲストなし。
佐野元春自身がソングライティングを語ります。

では今回も抜粋で書き起こし。
途中、過去に登場したゲストたちの発言も名場面的に引用されていましたが、
ここでは全て省略、佐野の発言のみを取り上げています。
いつもの通り、佐野の発言そのままは文字色を変え、当方にて発言をまとめ
たものは変えていません。



ソングライターたちにとって、一番頭を悩ませることは何か? それは、言葉、
詩、リリックですね。これまでゲストに来てくれたソングライターの皆さんに聞
いてみるとやはり、メロディーよりも詩を書くことの方が難しい、と言っていま
した。これは個人的に僕が好きな言葉です。

  詩人に詩を書こうとする衝動が生まれるのは、彼の
    想像力が聖なるものと遭遇することからである。
                    W・H・オーデン

「聖なるものと遭遇する」。そう書いてありますけれども、この言葉の意味は、
私たちの人生にある真実や美のことを、指していると僕は思います。つまり、人
の想像力が真実や美に触れた時、そこに詩が生まれる。そんなことを言っている
のではないかと、僕は思います。詩とは何か? この問いに唯一答えがあるとし
たら、それを解く鍵はこのW・H・オーデンの言葉にある「聖なるもの」ですね。
この「聖なるもの」という感覚の中に、それを解く鍵があるように僕は思います。



ポエトリーリーディング。今回は佐野自身の曲、「コヨーテ、海へ」。



ソングライティングというのは一体何なのか。そしてそれはどんな意味を持って
いるのか。そのことについて、少し思いを巡らせてみたいと思っています。

まずはソングライティングを4つの定義でくくってみました。
 ・自分を知る作業
 ・共感を求めるための作業
 ・普遍性を獲得するための作業
 ・世界を友とするための作業
1つは「自分を知る作業」。自分にとって良い癒しになる、ということですね。
自分にとって良いセラピーになる。

2つめが「共感を求めるための作業」。ソングライティングという行為は、自分
の経験を引き金にして、そこから想像力を広げていく作業だと言えます。個人か
ら立ち上がって来た歌が、面白いことに時には誰か他の人を激しく感動させたり
することもあります。それは自分の書いた歌が誰かを感動させた、ということで
はなく、その歌に触れた誰かがそこに共感したからこそ、言葉に力が宿った。と
いう状態ですね。そう考えるべきではないかなと、僕は思います。

3つめが「普遍性を獲得するための作業」。自分の個人的経験がそのまま詩にな
るかというと、そう簡単にはいきません。やはりそこには受け手が共感出来るよ
うに工夫をしないといけません。また、これは優れたソングライターの書く詩に
共通して言えることですけれども、とにかくスケッチの力が強いですね。このス
ケッチの力というのは、そのソングライター自身の心の眼を通じたオリジナルな
捉え方、ということですね。当たり前な視点ではなく独自な視点でスケッチをす
る。何か気の利いたことを技術的に言おうとするのではなく、目の前の対象物を
自分の心の眼で出来るだけ正確に写し取るということです。それが作品としての
普遍性を獲得することに繋がる。僕はそう思います。

最後、これです。「世界を友とするための作業」。抽象的な言葉になってしまい
ましたが、1つの仮説として、世界を友とするために、というのはつまり世界と
対立するために歌を書くのではなくて、僕らソングライターは世界と和解をする
ために歌を書いているんだろうということです。詩というものは世界を友とする
ための道具である。そして詩を書くということは、自分が自分であるための確認
の作業でもあります。しかし、そうはいってもこれを実現するには相当の忍耐と
苦痛が伴います。ソングライターは、そこを覚悟しておかないといけません。




良い歌詞とは何か。
まず一つの基準。「他者への優しいまなざしがあるか」。ライティングするとき
の視線を自分にではなく他者に向けていく。書いた詩にそうした意識はあるか。
次に「生存への意識があるか」。肯定的にしろ否定的にしろ、生死について真剣
かどうか。
続いて「言葉に内在するビート(韻律)に自覚的か」。これは音楽を伴った詞の
場合は必須の条件。ここに独自の技術を持っている人が個性的なソングライター
だといえる。
次に「文字だけで読んだ時、ポエトリーとして成立しているか」。優れた歌詞は
言葉だけにしてみても説得力を持っている。
次に「自己憐憫では無い詩」。とにかく陥りやすい罠のようなもので気をつけな
いといけない。個人の感情をそのまま告白したような格好で言葉にしても、それ
は詩とはいえない。ただ、個人的な自分の悲しみや困難を引き金にして、他者に
まなざしを向けていく。そして私の詩から私たちの詩へ視点を広げていければ、
いい詩になる可能性が出てくる。
次に「普遍性がある。時代、性、国籍、年代を超えている」。普遍性を意図的に
盛り込もうとしても、なかなか上手くいかない。誰か他の人から発見されるもの
だと思う。
次に「音と言葉の継ぎ目の無い連続性があるか」。メロディーと言葉がタイトに
寄り添ったソングライティング。
続いて「共感を集めることに自覚的か」。どうして優れた詩や音楽とというのは
知らないうちに人々に伝わるのか。そこには何か共感のメカニズムのようなもの
があるはず。
最後に「よいユーモアの感覚があるか」。もしかしたらこれが最も大事なことか
も知れない。こうした時代、シリアスなだけでは共感は得られない。ギャグでは
ない。ユーモアとはある種、絶望の裏返しではないかと思う。僕らの弱さ、醜さ
を認めたうえで、それでも明日、どうにかやっていこうという感覚。それがユー
モアのセンスだと思う。
良い歌詞とは何かの基準は人それぞれだ。皆さんが思うところの良い歌詞とはを
考えて見て欲しい。


ソングライティングが出来ることの可能性は無限。
全ては想像力。その想像力を有効に使うためには勇気が必要。想像力は各個人に
与えられた強力な武器。
今、僕たちが直面している、この現代という荒れ地を生き抜いていくために是非、
皆さんの中にある想像力を存分に広げてみて下さい。そして、自由なやり方でい
いので、何か言葉を使って表現してみて下さい。そして、その先にある景色とい
うものに、是非、期待してみて下さい。
「夢を見る力をもっと」。これが僕から皆さんに伝えたいことです。




言葉(詩)の三要素。
音 映像 意味
この三つから成り立っていると言っていい。優れた詩はこの三つが絶妙なバラン
スで成り立っている。


学生からの質問。

Q「今までのキャリアの中で、捉え方が変わった言葉とは?」
曲を書いていて、思わず使ってしまいがちな単語、言葉というのは確かにありま
すね。初期においては、街の中に暮らす多感な世代をスケッチした曲が多い。そ
うすると、どうしても「街」という言葉や「夜」という言葉がたくさん出て来ま
したね。やがて自分が成長すると「街」という一つのコミュニティからもう少し
広くなって「国」とか「国家」とか、もっと広くなって「世界」とかね。そうい
うような表現を使うようになっていった。
そうするとソングライターとしては、ハッと思うんですね。最初、街から出発し
たのにいつのまにか、巨大な対象のことを歌ってしまっている。こんな巨大な対
象のことを歌って、時代の良き聞き手と良い関係がとれるんだろうか? 時には、
「僕は抽象的な表現に自己満足していないか」と、こういう反省が入る。そうす
ると、またもう一度、自分が初期によく採用していた「街」とか「夜」とかいう
言葉を使ってもう一度再構築してみるんですね。10年経ち、20年経ち。その繰り
返しですね。
自分の好きな言葉は、やっぱり何か理由があるから自分が好きでしょ? それを
大事にして、それを使っていつも再構築していくという作業が長年のソングライ
ティングの中で、どうやらあるようですね。そんな感じです。



Q「詩の解釈を正しく伝えるか?」
おそらく他のソングライターもだが、書いた詩を100%誰かに分かってもらいた
いと思っている人はいないと思う。書いているうちに、私の詩から、私たちの詩、
になる。自分のことを分かってくれではなく、むしろ共有して下さい。人それぞ
れの経験によって解釈は違うと思うけど、それでいいと思う。


Q「12歳の頃から作詞を始めたそうですが、歌詞の考え方は変わりましたか?」
最近、その当時のノートが出て来た。正直言って、今より凄い詩が何編かあった。
10代の時には、表現が経験を越える時がある。それは直感なのか、あらかじめ僕
の中にあった景色なのかは分からない。経験してなくても、経験したかのように
表現出来ることがある。

この十代に備わっている能力、あるいはその世界の把握の仕方、と言ったらいい
んだろうか……。それは、もの凄く可能性にあふれていると思う。皆さん、多分、
18,19,20。まだティーンの方たちもいると思いますけれども、そして、クリエイ
ティブ・ライティングを目指そうという人たちが集まっていると思いますけど、
どうぞ、今のうちに、出来るだけ沢山、創作をしてみて下さい。今でなければ、
描けない詩。これはかならずある筈です。クリエイティブ・ライティングに興味
がある方、是非、今の時を大事にして、出来るだけ多くライティングしてみて下
さい。大人になった時に振り返って、きっとそこに「あっ、これは一つ私の宝物
だ」「僕の宝物だ」と思える瞬間があると思います。



最後に、皆さんに伝えたいメッセージがあります、と一枚の紙を手にし、朗読す
る佐野。

僕は、言葉と音楽に真剣に向かい合っている同時代の、すべての同業のソングラ
イターたちを擁護する。擁護というのが、ちょっと大げさだとしたら、同情、と
いう言葉に言い換えてもいい。

こうして話している今も、どこか狭い部屋の中で、言葉と格闘しているソングラ
イターがいるかも知れない。

明日になれば、何百万枚もの売り上げを記録するような、そんなことを夢に見て
いるソングライターもいるだろう。

僕も叉、そんなソングライターの一人として、ぼんやりとメロディやストーリー
について考えている。そしてできれば、ご機嫌なポップソングを書きたいと思っ
ている。

ご機嫌なポップソングとは何か?
それは、多くの人たちから愛される歌のことだ。
しかし大抵の場合、それを意識して上手くいったためしはない。

ソングライターたちの自問自答は、いつもこうだ。
「ソングライティングを上手くする方法はあるのだろうか?」
「ソングライティングに、何かルールのようなものはあるのだろうか?」
はっきり言って、曲作りのルールなんてどこにも無いから、結局のところ自分で
見つけるしか無い。

もしあるとしたら、それは
「聞き手には面白がってもらえ」「同業者からは盗まれるように作れ」
そういうことだ。




今回も素晴らしく見応えのある回でした。
これまでに登場したゲストたちの印象的な発言を紹介。こんなに大勢出てたんだ
と改めて懐かしく思い出したりして、最終回に相応しいものとなりました。

佐野元春が、学生たちにとても丁寧に、優しく語りかける口調とその暖かい眼差
しが心に残ります。彼が学生たちに伝えたかったメッセージは、きっと聴講生や
視聴者にも伝わり、新たなソングライターが生まれるきっかけになるでしょう。


この番組はコンテンツとして、とっても優良ですからDVD化、書籍化したらいい
のに。とても意義あるものになると思うのですが。



佐野元春のザ・ソングライターズ(第4シーズン) 
NHK・Eテレ 毎週金曜 23:00〜23:29(再放送は次週木曜 0:30〜0:59 )
===================================


ザ・ソングライターズ シーズン4 Vol.9・Vol.10(ゲスト なかにし礼) へ








テーマ:NHK - ジャンル:テレビ・ラジオ

コメント

文字起こしありがとうございます。良い番組でしたね!
10代の頃は、表現が経験を越えることがある、という話に痺れました。本当にそう思います。

  • 2012/12/28(金) 13:34:11 |
  • URL |
  • #-
  • [ 編集 ]

Re: タイトルなし

名無し 様
コメントありがとうございます。

10代の頃にしか描けないこと、出来ないこと。
この番組を観た10代の方々には、是非チャレンジしてみて欲しいですね。

僭越ながら、私からも付け加えさせて貰えるなら、
1冊でも多くの本を
1曲でも多くの曲を
1本でも多くの映画を
10代の内に読み、聴き、観ておくことを勧めたいです。
決して無駄にはなりませんから。

  • 2012/12/29(土) 02:35:56 |
  • URL |
  • tate #7EGgl1.w
  • [ 編集 ]

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