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佐野元春のザ・ソングライターズ シーズン4 Vol.5・Vol.6

'12/11/2,9 放映 NHK Eテレ

佐野元春のザ・ソングライターズ  ゲスト:星野源(Vol.5・Vol.6)

「ホピュラー音楽のソングライターこそ、現代の詩人」
「ポップソングは時代の表現であり、時代を超えたポエトリー」

そんな佐野元春の言葉で始まる「ザ・ソングライターズ」。
4thシーズンのゲスト、3人目は星野源。
2000年にインストゥルメンタルバンド『SAKEROCK』を結成。2010年に
シンガーソングライターとしてソロデビュー。身の回りにある日常の風景を独特
の視点で歌い、人気を集めています。また、俳優として舞台、ドラマなどに出演。
文筆業もこなし、多彩な活動を続けています。


では、今回もダイジェストにて文字起こし。



ポエトリーリーディング。「くだらないの中に」(2ndアルバム「エピソード」)


日本のポップロックの詞は、私を主体とした一人称で書かれた詞が多いが、星野
の詞は第三者の視点で描かれた詞が多い、と指摘する佐野。
このような「ストーリーテーリング」的な曲を書く時、最初に何を思い浮かべる
のか? ストーリーなのか登場人物なのか? という佐野の問いに、
歌にならなそうな言葉、例えば『喧嘩』という曲だと「入れ歯」。『茶碗』だと
「禿げ」。その言葉が浮かないで、曲に染み込んで聞こえるようにはどうすれば
いいのか、いかに真面目に歌うかを考え、広げていった。と答える星野。

 「やっぱり最初は、それこそスケールの大きい歌を作ろうと思って…。「世界」
  が、とか「平和」みたいなものも全然作ろうとして、ことごとく失敗してっ
  ていう歴史がありまして」
そうですか。
 「で、どうしよう、全然自分に似合わない、と思って。で、家の中で、こう…
  グルグル家の中を回りながら、作曲をしていたんですよ。何か変わるかなと
  思って。その時に、キッチンで…台所でちょっと曲を作ってみようと思って、
  目に付いたものから、ドンドン曲を作っていこうと思って。で、その「禿げ」
  を歌いたいな、というアイデアと、目の前に茶碗があったので、そこから広
  がっていった、っていう…」
ああ……
 「日常を歌おうっていうより、なんとなくヒントがとりあえず近くにあるので、
  割と身近な歌になってしまうことが多いです」


老人がよく歌に出てくる。老人をテーマにした歌が多いことについて
 「ラブソングっていうのを多分書きたいんだけれど、自分のこととか、同い年
  の人として歌うと、ちょっと、こっぱずかしいって言うか。でも、老人が主
  人公だと、やっぱりちょっと距離が出来るじゃないですか。自分より。だか
  ら、恥ずかしくないというか、なんか単純に、自分にとってスルッと言葉が
  出てくるテーマなんだと思います」
分かります。老人をテーマにすることによって、日常の中で育まれてきた愛につ
いて言及することが出来る、ということなんですね。そしてそれは、物語にしや
すい、ということなのかも知れない。

 「そうですね」
どの曲も、出てくる単語がかなりディテールがはっきりしてるし、ディテールが
細かいですよね。誰もがこういう風景かな、ってことが思い浮かべやすい。その
ような単語と表現をなさっていると思うんですね。
これは、ポップソングの作詞家、というよりむしろシナリオライター。の視点な
のかなと、ちょっと思っているんですが、星野さんは役者もやられてるでしょう?

 「はい」
役者は常に、ある役柄を演じる訳ですよね。星野さんの曲にストーリーテーリン
グ的な曲が多いっていうのは、そのことと関係していると思いますか?

 「そうですね……役者をしていることというより、物語が好きだ、っていう方
  が多分強いと思います。あと単純に、自分の気持ちを歌うっていう、いわゆ
  るホントに「俺の歌」ってするのが単純に恥ずかしいっていうか。あのー、
  そんな器じゃない、みたいな気持ちにどうしてもなってしまって。だから、
  自分の気持ちみたいなものを物語に織り込ませると、そんなに恥ずかしくな
  いし。あと、自分の歌にならないで、こう、人の歌になってくれる…」
その通りですね。
 「物語を歌うと、その物語の主人公とか出てくる人とか、風景に、自分を投影
  したりとか、感情移入したりとか出来るんじゃないかな、で、その人の歌に
  なってくれるんじゃないかなっていう、なんかそんな風に思って」
その通りですね。それはよく分かります。物語の素敵なところは、ストーリーを
自分のものにすることが出来る。そして楽しむことが出来る。これがストーリー
テーリング形式の曲の楽しいところでしょうね。

 「そうですね」
 「僕がやりたいことっていうか、聴いてる人になってもらいたいものっていう
  のがその、共感して欲しくないんですよ、全然」
ちょっと待って。星野さんの歌っている曲に、特に共感を求めていない?
 「そうですね」
それはどうしてですか?
 「あの、やっぱり共感って、同じことを経験しているとか、同じことを思って
  いる人だけじゃないですか。でも、若い人が老夫婦の歌を歌ってて、自分を
  投影するっていうのは共感とは違うと思うんです。だって経験してない訳だ
  から」
そうですね。
 「それは共感というより、なんかもっといいものなんじゃないかなっていう…
  なんか、上手く言えないんですけど。人間はやっぱりバラバラだと思うんで、
  一人一人。例えば双子でも全然違うだろうし、それは共感というもので繋い
  でしまうと、凄くもったいないんじゃないかなっていう……それぞれが孤立
  したまま、自分というものを持ったまま、何か一緒にいるみたいなことが出
  来ないかなっていう…」
とても大事なことを今、おっしゃってますよね。例えば震災後、多くのシンガー
ソングライター達が書いた曲があって、希望とか、絆って言葉が街にあふれた。
そうした曲を聴いて、多少、僕は違和感を覚えたことがあった。何か共感を取り
付けたいあまりに、作者の自意識みたいなものがオーバーに出されているのでは
ないかといったところの、ちょっとした違和感ですね。いま星野さんのお話を聞
いて僕、ハッとしたのは、歌というのは何も共感を取り付ける為ではなく、もう
少し、聞き手の想像力を信じて、鷹揚にかまえてみようよ。というような態度な
のかなって、いま聞いて僕、ハッとしたんですけれどね。




定型質問。
好きな言葉
 「『バカじゃないの?』って言葉が好きですね。フフフ……」
嫌いな言葉
 「何々系。その本質が抜け落ちていくことが多いなと思って」
他になりたかった職業
 「サラリーマン。単純にスーツがかっこいいなって。僕クレージーキャッツが
  大好きで」
へえー。
 「植木等さんのクレージーの映画の「無責任シリーズ」で、大体主人公がサラ
  リーマンじゃないですか。そのサラリーマンが無責任にいろんな事件を起こ
  すっていう、大体そんな話なんですけど、凄くそれにあこがれがあって……。
  かっこいいと。スーツってものを着ながらバカなことをやったりとか、派手
  なことをやったり。自分にはなかなか出来ないなと。
  後はダンサーになりたかったです。踊りが大好きなので」
ミュージシャンであり役者でもあり、ダンスが好き。ということを聞けばミュー
ジカルをそのうちやるんじゃないかな、って予想するんだけれど、どうですか?

 「ミュージカルやってみたいです。「日本のミュージカル」ってものが、ずっ
  とやりたくて。日本の……外国のマネではない、なんかこう、マネから始ま
  ってるんだけど、日本人の生理にあったミュージカルってものを、ずうっと
  やりたいです」
自分が観たミュージカル映画の中で、これは優れているんじゃないかな、と思う
のは、確か1970年代前半のミュージカルだったと思う。『君も出世ができる』。

 「(目を輝かせ)もうダイッ好きですよ、もう」
雪村いずみさん……
 「大好きですよ」
ご覧になられたことは?
 「もう、その話をしようかと思って止めたので、すごく嬉しいです」
ああ(笑)。そうですか。どうもありがとう。
 「ありがとうございます」
  
(註:『君も出世ができる』は1964年の東宝作品。須川栄三監督、出演はフラ
 ンキー堺、高島忠夫、雪村いづみ、中尾ミエ他。当時、興行的には大失敗した
 が、現在では和製ミュージカルの名作と名高い)



ワークショップ。
短い曲の方が好き、と星野。短い方がイメージが広がりやすい。長いのは飽きて
しまうらしい。
そんな星野が書き下ろした6小節のメロディー。これに学生たちが1音符に1文
字で言葉を付けて、歌詞を作っていく。

佐野と星野によってセレクトされた詩は以下の通り。


 二度寝して つっかけで荒川を歩く 君に会えたらな

 へび畑 魚雨 トカゲ坂登り 夢の中歩く

 まわし締め しこを踏む 勇ましき力士 どすこいのリズム

 バカみたい! ありえない! おかしいんじゃない? でも貴方が好き…



即興で今、思い浮かんだら挙手で、と佐野が学生に。

 君だって酒乱だろ 小言言う電話 迎え待つ深夜 



星野が自ら作ったものを2つ披露。

 もりそばは だされたら早く食べないと 固まってしまう
 
 「もしかしたら結構堅いというか、結構いっぱい考えて書く方が多いかな、と
  思って。「こんなのもあるよ」って紹介しようと思ったんですけど、結構、
  ホントに柔らかい人が多かったんで」



 みんな死ね みんな死ね 殺してやりたい この僕の次に

優しいメロディに優しくない言葉をぶつけた時に、それがどう相手に響くかとい
うのは、凄く興味深い実験だと思うんですね。そして僕らは、日々、作詞作曲を
やってる訳なんですけれども、こうした実験というのは時々、やりますよね。

 「僕はずっと、パンクとかハードコアとかが大好きで」
そうなんですか?
 「やろうと思った時期があったんですけれど、似合わない、っていわれちゃっ
  て。でも、自分の中にあるパンク的な心、みたいなものが、行き場が無くて
  ですね。それをこう…ボソッと歌うみたいな。それこそ「チキショー」みた
  いなことをボソッと歌うと、逆に、ギターをガァーっとかき鳴らしてギャー
  と歌うよりも、怖いんじゃないかと」
ああ。
 「何かグッと刺さる場合もあるんじゃないかなと思って、そういう曲が多いで
  すね」
そうなんだね。僕たち曲を書いて、相手と融合することも、平和の中で融合する
という目的もあるけれど、時には相手を突き放して、「君はどう思う?」って、
問題を突きつけたくなる時もありますよね。そういう時に言葉が激しくなったり
すること、ありますね。





学生からの質問。
学生「メロディが先にあるから、それにちょっと助けられる形で歌詞が出て来た
 りとか、勿論逆もあると思うんですけれど、で、字数が会わないとか、どっち
 かがどっちかを制約してしまう…っていう事がある時にどうするのか、ちょっ
 とお聞きしたいなと思いまして」
よくあることだよね。これが言いたい。でもメロディ決まっている。字数が合わ
ない。どうしますか?

 「僕がまず、曲を作り始めてというか、本格的にちゃんと歌おうと思って25歳
  ぐらいの時とかに、作った時に自分に課したルールがあって。1つの音符の
  中に、2つ以上言葉を入れない」
ああ、今日のワークショップでやった通りだ。1音にひと言乗せたいと。これを
自分に課した。

 「はい」
面白いですね。
 「それをやっていて、やっぱりこれが言いたいけど、ここにははまらない…。
  でもそれは、歌詞を変えていってましたね。メロディに合わせて、歌詞を無
  理やり変えてました。で、それをやってみて分かったのは、枠ってホントに
  大事なんだな、と。制約…」
ええ。
 「その制約によって、自分の言いたいことが曲げられてしまった時に、深みが
  出る場合が多かったんですね」
なるほど。
 「例えば6文字の言葉で言いたいんだけれど、メロディ的には5文字しかなく
  て1文字多い。でも1文字無いだけで意味が変わってきちゃう、となった時
  に、意味が変わってもいいから入れちゃう、っていう…」
ああ。
 「それに合わせて音符を変えちゃうと、ちょっと間延びしてしまったりとか、
  無理やりな感じ、というのが出てきちゃう。でも、無理してはめると、自分
  では思ってなかった偶然の面白さ、…みたいなのが出てくる。それをやって
  いくうちに、そこに逆に面白さを感じてしまって。だから「あ、はまんねえ
  や」ってなった時に、嬉しくなるみたいな。「よーし、これはどう落とし前
  つけてやろうか」「来たぞ来たぞ」みたいな。「そこから勝負」みたいな。
  で、上手くはまる言葉が見つかったり、自分が予想もしなかった……。で、
  またそういうところが「いい歌詞ですね」と言われることが多かったりして。
  だからそれが、自分の範囲をちゃんと越えるっていうか、いい作用になるん
  じゃないかと。今は1音に2つの言葉とかも挑戦し始めているので、今は違
  うんですけれど。はじめた当初はそうやってましたね」
 
 




自分が本当に心から大好きな映画を、人から「好き」と言われると嬉しいんです
よねー。分かります。
『君も出世ができる』の題名を佐野が出した時、本当に嬉しそうでした。前回の
記事で紹介したTVブロスのインタビューでも、あれでテンションが上がった、と
コメントしてました。

11/3(再放送11/8深夜) にNHKで放送された「SONGS」のゲストが雪村いづみ。
『君も出世ができる』からも「アメリカでは」の有名な1シーンが紹介されてま
した。佐野も出演してましたね(雪村いづみの20年ぶりの新曲を佐野が作詞作曲
した)。


次回のゲストは、山崎まさよし。
さらには大御所、なかにし礼の出演が決定したそうです。これは楽しみ。




佐野元春のザ・ソングライターズ(第4シーズン) 
NHK・Eテレ 毎週金曜 23:00〜23:29(再放送は次週木曜 0:30〜0:59 )





← ザ・ソングライターズ シーズン4 Vol.3・Vol.4(ゲスト 大木伸夫) へ
ザ・ソングライターズ シーズン4 Vol.7・Vol.8(ゲスト 山崎まさよし) へ→



テーマ:テレビなんでも - ジャンル:テレビ・ラジオ

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