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佐野元春のザ・ソングライターズ シーズン4 Vol.3・Vol.4

'12/10/19,26 放映 Eテレ(NHK教育)

佐野元春のザ・ソングライターズ  ゲスト:大木伸夫(Vol.3・Vol.4)

「ホピュラー音楽のソングライターこそ、現代の詩人」
「ポップソングは時代の表現であり、時代を超えたポエトリー」

そんな佐野元春の言葉で始まる「ザ・ソングライターズ」。
待望の4thシーズンがスタートしています。

2人目のゲストはACIDMANの大木伸夫。バンド結成15年、命や宇宙をテーマに
した壮大な詩の世界。様々なジャンルの音楽を取り入れた幅広いサウンドで人気
を集めています。


では、今回も抜粋ですが文字起こし。



洋楽を聞き始めたとき、ギタープレイに興味があって、詩には興味が無かった。
詩は大学2年のとき、当時のバンドのボーカルが詩を担当していたが辞めたので、
書いたことも無かったけど、仕方無く書き始めた。
書きたいことが無くて当初は悩んだが、自分は何が好きなのか、興味があるのか。
この世界のことだ。この宇宙のことだ。そう思ったら書ける様になった。


リーディングは「廻る、巡る、その核へ」(3rdアルバム「equal」より)。

これは輪廻について歌った歌。自分の中でもかなり特別な気持ちで作った歌で、
自分が作ったという感覚があまり無い。

ソングライティングというのは、大木さんにとっては違う何かと触れるような作
業? 自分の中から言葉が出てくると言うよりかは、何か、他と繋がる中から、
向こうから言葉がやってくるという感覚ですか?

 「それが一番……、もちろん、違う時もあるけど、そういうのが近いですね。
  曲を先に作ってから、この曲の答えは何だろうというのを探す旅に出る、と
  いうのが作詩の作業です」
なるほど。

化学的な用語とか宗教的な言葉がよく出てくる。薬学部出身で薬剤師でもある。
化学的なもの、特に有機化学は凄く好き。多くのリスナーが多分知らないであろ
う固有名詞を使うことには恐れは無い。初期の頃、「ベータ受容体」という言葉
を詩に使って、友人に「なんだこれ?」と言われ驚いた。え、知らないの? と。
天然で、皆知ってると思って使っていた。それからは、もっと分かり易い言葉を
使おうとは意識している。知らない人が多いだろうけど、手の届き易いマニアッ
クすぎない言葉を選んでいる。

そうしたところで大木さんは、とにかくポップソング、ロックンロールソングと
いうと、聴く相手があっての音楽だと思うんですけれど、ある種、共感を得たい
とか、伝達したい、そういう思いは人一倍あるんでしょう?

 「ありますね。でも特に一番大事にしているのは、その共感というのは、同じ
  位置に立って共感という感覚よりも、(上を指差し)同じところを目指す、
  というか」
ああ。
 「俺が提示して、みんな共感しろというよりは「ここに行こう」というのが一
  番欲しくて。だから歌詞も正直、訳分からなくていいと思ってて。もちろん、
  分かってくれた方が嬉しいけど、直感的になんとなく感覚で捉えてくれてて、
  自分も感覚で書いてるもんで。それで捉えた後、その先に同じ世界に行けた
  ら何か変わるんじゃないかなと」
面白いですね。


宇宙への関心は子供の頃からあった。小学校低学年の時に、父親に「伸夫、宇宙
には果てがないんだよ」と言われたのが、キーワードとして自分の中にもの凄く
引っかかった。子供ながらにドンドン調べ出し、考えると夢中になった。この世
界は不思議なことが多すぎる。普通、大人になると現実を知ってリアルになって
くるんだけど、自分は逆。化学や宇宙を勉強すればするほど、世界は不思議な事
だらけだと気付いた。「なるほど、合ってたんだ!」と。

でもそれが、後にソングライティングをする時の大きなモチーフになってくると
いうことでしょ?

 「もう本当によかったと。ラブソングが書けなくて、引き出しを開けまくって、
  もう何にも無い、俺には。って。最後の最後に開けた引き出しの奥の奥に、
  どっしりとしたものがあったから、必死に抱きしめて。やったー、俺、これ
  で詩が書けると思って」
   


定型質問。
好きな言葉。
 「誤解されちゃうかな……。「神は己にあり」と自分でもよく言ってるんです
  よね。これ、自分の言葉ではあるんですけど。それを思えば、全てが決着が
  つくんです」
嫌いな言葉は何ですか。
 「嫌いな言葉……。なんだろな。嫌いな言葉って考えたこと無いな。言葉って
  言われると分かんないな」
日常の生活でウンザリすることは何だろう。
 「毎日が楽しくってしょうがなくて生きてるんで。うんざりとかほとんど無い
  です」
それは素晴らしいな。
 「どんなこともポジティブに切り替えるんですんね。蚊に刺されても……ちっ
  ちゃなことですけど。蚊に刺されちゃった、チキショー、じゃなくて、蚊に
  刺されたってことは、この後、掻いた時の気持ちよさを味わえるラッキー。
  って」
アハハハ(笑)。他になりたかった職業。
 「絵描きでしたね」
絵を描くのが好きだった?
 「ハイ」
それは具体的な絵ですか?それとも抽象的な…
 「いろいろ描いてましたね。写実もしてたし。小学校の時にポスターとかある
  から。すごくこう、いつも表彰台に呼ばれて…」
素晴らしいですね。
 「そうなんです」
人から言われて、カチンと来る言葉は。
 「言葉っていうよりは、その人の言い回しとか…具体的なのじゃないけれど、
  思ったことを言ってない時は凄く嫌ですね。目が言ってない時」
分かります。
 「そういう時は「言えよ」って言う。言っちゃっていいよ。怒んないし。って。
  そういうのはありますね」
死ぬ前に愛する人に残す伝言。
 「ありがとう、でしょうね。きっと」
そこにつきますよね。
 「そうですね」
正直に答えてくれて、どうも有り難う。



バンド初期の代表曲「赤橙」について。
初めてちゃんと書いた曲。イメージはオレンジ色。夕陽のオレンジで、少年が砂
を撒いているシーンが浮かんだ。思いつく言葉と断片だけを無理やり言葉にして
繋ぎ合わせた。意味は深く意識せず、感覚で書いた。

視覚的な詩が多いが、それは意識的ではなく、結果。言葉にできないことを何と
か言葉にしたい。作詩とは、先に作ったメロディーに言葉では何か上手く言えな
いけど、その何かを探しに行く旅だ。

その時には、なにか具体的な映像が浮かんでいて、それをスケッチするかのよう
に幾多の言葉の中から、その言葉を選んでいくんですか?

 「曲によりますね。もう全然無い時もあるし」
ああ。
 「うん、もう色しかない時だって…」
それは苦しくないですか?
 「それは苦しいですね。そん時はもう何百という単語を……歌い心地とかもあ
  るからね。いっぱい出して、そこから一番いいのを開いてみて、当てはめて
  みて、やっぱり違う…」
その作業の苦労は分かります。我々は、活字として成立する詩というか、やはり
オーラルで、歌って成立する言葉、表現を作らないといけませんから、いくら単
語が浮かんできたとしても、韻律の制約はあるし、メロディーの制約はあるから、
かなり沢山の中から、限定した中で言葉を選択せざるを得ない、そういう苦しさ
はありますね。

 「佐野さんの楽曲は、ホント凄いなって思います」
(笑)。そうですか?
 「まあ、歌い方もあるんでしょうけど、詞を読むと読める。歌い心地の為だけ
  に作った詞じゃないなと感じるんだけれど、聴くと、すごく流れるように聞
  こえてくる。普通もっとゴテゴテしちゃう筈なのに。あれはすごい。あれは
  はうらやましいなと…」
それはやっぱり我々の工夫でしょうね。音、それから映像、それから意味ですよ
ね。この三位が一体となった時に、その伝達力が強くなるんじゃないかなあ、と
いう前提ですよね。しかし大木さんのソングライティングも、やはり容易に映像
化できるという点において、とても優れていると思いますね。

 


ワークショップ。
ACIDMANの「彩 -SAI-」というインストゥルメンタル曲と、この曲をイメージ
したアニメーション。ここから触発されたイメージを詩にする。

ちなみに、そのアニメーションはこちら。
ACIDMAN 彩 -SAI-
http://www.youtube.com/watch?v=cCdqhG8_Ju0

テーマは「鳥の視点」。

作品(1)(2)として、各3編の詩を二人がセレクト。それを大木が映像に合
わせてリーディングする。


作品(1)

 今はどこへ向かう? もうこんな時間か
 もうだいぶ長いこと 飛び続けて来た
 弾けた光が世界を放つ あの一瞬が全てを変えた
 繰り返される運命がくるくると
 ここはどこだ この姿はなんだ
 また私は飛んでいる ああ またここか またこの姿か
 抜け出せない運命ならば 次はどこへ向かおう


 触れる風が 何を感じる?
 誰もいない 誰もいない ただ藍の街
 動く車と揺れる灯火 ふいに燃えた
 浮かび始めた 鮮やかな色
 きっと知らないだけで 知ろうとしなかっただけで
 多くが側に在った
 嗚呼 あれは 光は 暖かかったのか


 飛ぶために生まれてきたのだと
 そう言える確証などなく
 翼の下には ただ無数の命
 風切る音を聴き 生きていることを知る




作品(2)

 探してた街はまだ見つからない
 優しい灯の中 僕らは飛んでいた
 君の産声を届けに
 はるか彼方から僕らは来た
 でも僕らの瞳に色は映らない
 世界は輝いているのに
 君はここで何を考える
 君はここでどう生きる
 優しい灯は君にぴったりだ
 世界の中心に君をおいていくよ
 さあ新たな世界の幕を開けよう
 そしてまた僕は飛んでいく


 色を宿す瞬間を身にまとうように
 追い立てられるように光に向かえ
 怒りも 悲しみも 恐怖も 孤独も
 ないまぜにした光の中
 拍動をかえて 無心に かわることなく
 追い立てられるように光に向かえ


 橙の世界に青と少しの金をこぼす時が来た
 それは僕らの時間 僕だけの世界
 ぽつぽつした光 どんどんした光
 僕は光の中へいく
 浅く深く 近く遠く 狭く広く
 右往左往 自由自在
 気がつけば青と少しの金をこぼした世界から 白い世界へ
 僕は再び羽を広げ 未来へと向かう



(作品(2)の3つめの詩について)
 「これって、勝手に解釈…深読みしちゃったのかも分からないけど。橙は赤を
  ベースにした色。青は青。金色は実は黄色なんですね。これって、意識しま
  した?」
学生「意識しました」
 「最後、それが混ざると、白い世界へ。金をこぼした世界から。それは多分、
  偶然?」
学生「偶然です。そこまで考えてないです」
 「なるほど。これ、上手く出来てるんですよ実は。赤と青と黄色。それが混ざ
  ると、白い世界へ。
  これが俺の思う、詩の面白い……醍醐味だなと思うんです」
これは、実は大木ソングライティングの中にもよくあって、一見、叙情的な表現
かなと思うと実はその裏に、とても深い理知的な英知が潜んでいるというね。こ
れは、そこに呼応した作品だなと、僕らは読み込んだんですけどね。
どうもありがとう。

 「偶然なんだね」
学生「偶然です」
 「ラッキーガールだなぁ、おい(笑)」
学生「ありがとうございます」
 「素晴らしいです。大事にして下さい」
  


3つ目の作品は、詩が長いので1編の詩にてまかなってみる、と佐野がリーディ
ング。


作品(3)

 日が落ちる 寝ぐらへ急ぐ
 星々を追い 古いなじみの森へ
 地をはうものたち 星をまね
 我々のもつ つばさをまねて
 決して土にかえることのない
 灰色の細かな山々を作りし かれら
 その間をぬって 我々は寝ぐらへと急ぐ
 昔々からうけつがれた古いコロニーへ
 昔々から 受けつがれたとおりに
 休まず つばさを動かして
 地をはうものたち
 固い羽根が気流をかきまわす
 風をさく音
 まるで 昔を取りもどそうとするかのよう
 遠い昔 道が分かれたその日
 かれらが「失った」と思っているもの
 本当は 何ひとつ 
 失われてなどいないのに
 身体の内に きざまれた いくつもの分かれ道
 それは いずれ一つになる
 我々は 寝ぐらへ急ぐ
 昔々から受けつがれた通りに
 休まず つばさを動かして
 昔々から 受けつがれたとおりに


これは文字の量は多いんですけれども、イメージが、すごくフォーカスが絞れて
いるので、リーディングしていて、あっち行ったりこっち行ったりすることなく、
一気に楽しめて読めた、という感じですね。



こうして3作品ならべてみると、どれも「鳥の視点」という課題の基に書かれた
ものなので、それぞれ、バックグラウンドが違う、赤の他人が寄せたものではあ
るけれども、1、2、3と、世界観が一つのまとまりとしてありましたよね。

 「ありましたね」
とても不思議ですよね。
 「そうですね。これは非常に有意義な実験ですよね、先生」
はい。……先生?
 「先生(笑)。教授?」



学生からの質問
学生「表現と一口にいっても、絵画だったり音楽だったり、大木さんの場合は薬
剤師もある意味、その表現する方法の一つだと思うんですけど、その中で、音楽
のみが持ちうる力だったり、音楽が他の表現に比べて秀でてるところはどういう
点だとお考えになっているのか、お聞きしたいと思います」
 「いい質問ですね」
これ本質的なことですね。
 「まあよく言ってるのは、音楽っていうのは、まず言葉を抜きにしたとしたら、
  音の響き、たった一秒で気持ちが暗くなったり明るくなったり、あるじゃな
  いですか。それって他の芸術じゃ、多分ありえないんですよね。どんな絵で
  も、やっぱりパッと見た印象の、例えば暗い、ピカソの「ゲルニカ」を観て
  悲しい気持ちになるのと、暗い低音の音が「ブォ〜」って、例えばコントラ
  バスでも何でもいいんだけど、ウゥーンと鳴るだけの不安な気持ちというの
  は、やっぱり絵より音楽なんだと俺は思うんですね。だから、音楽というの
  は一番そういうことに直結しているんです、人間の感情と。全ては響きで出
  来ているので。だからこそ俺たちは、そういうのとリンクするんだなと思う
  んですね。もちろん、他の芸術と全部……芸術って、何がいい、何が優れて
  いるって、俺はないと思うんですけど。全部、同じぐらいの素晴らしいもの
  だと思いますけど、唯一、音楽が勝てるところっていうのは、一瞬で変えら
  れるというか、気持ちを。そこだと思ってます」
学生「たった一秒で世界は変わると?」
  「あー、いい詩だねえ。それ。うーん!」(笑)
学生「ありがとうございます」
どうもありがとう。
  




次回、三人目のゲストは星野源。
その次には、山崎まさよしの名前が挙がっています。

只今発売中の雑誌「TVブロス(H24,10月27日号)」にて当番組が特集されて
いました。佐野元春へのインタビュー、収録直後の星野源へのインタビュー、
シーズン3にて登場した七尾旅人の寄稿文と、計4ページの特集です。
このプログラムに興味のある方は是非、ご一読されては。
次号は11/7発売ですので、6日までは探せばあるかと思います。



佐野元春のザ・ソングライターズ(第4シーズン) 
NHK・Eテレ 毎週金曜 23:00〜23:29(再放送は次週木曜 0:30〜0:59 )





← ザ・ソングライターズ シーズン4 Vol.1・Vol.2(ゲスト 中村一義) へ
ザ・ソングライターズ シーズン4 Vol.5・Vol.6(ゲスト 星野源) へ→






テーマ:NHK - ジャンル:テレビ・ラジオ

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