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tateの観た映像、読んだ本、思った事、、、

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「それからの海」など3本の震災ドラマを観て

2012,3,3放映 「それからの海」(NHK総合)
2012,3,4放映 「明日をあきらめない…がれきの中の新聞社~河北新報
        のいちばん長い日~」(テレビ東京系列)
2012,3,6放映 「3.11その日、石巻で何が起きたのか~6枚の壁新聞」
        (日本テレビ系列)



当ブログの「キルトの家」の記事で、私は東日本大震災はドラマの題材とし
て、まだまだデリケートすぎると書きました。
震災を正面から描くドラマはもっと歳月が経ってからだろう、と思っていま
したが、あれから一年を迎える2012年3月、相次いで3本の震災を扱ったド
ラマが放映されました。そこで3本を見比べ、まとめて感想を記したいと思
います。



まずは「それからの海」(NHK)。

手持ちカメラで、演技っぽくない、素人の普通な生活らしき映像。その冒頭
の演出で佐々木昭一郎を思い起こさせます。佐々木昭一郎とは、かつて数々
の名作ドラマを生み出したNHKの演出家で、出演者は殆どが俳優を使わず、
ロケ地の一般人を起用し、手持ちカメラを多用したドキュメンタリー的な作
風が特徴でした。その独特な映像世界は多くの視聴者を魅了し、私も「川三
部作」などは大好きで忘れられません。

震災を描くにあたり、オーソドックスなドラマ的演出ではなく、自然なタッ
チでということでドキュメンタリー的な(佐々木昭一郎的な)絵作りを選んだ
のでしょう。間違いではないと思います。現場の空気感がよく出ていました。

多くの人の命を、生活をあっという間に飲み込んでいった津波。海。
それでも、ここに生きる人々はこれからも海と共に、生きていく。

九死に一生を得た女性が、語り部として観光客にあの日のことを語り、漁師
は新たな船を得て、家族に見守られながらまた海へ出て行く。
サイドエピソードとして描かれる現地の人々の強さが印象的です。

脇役の一人、祖父の朝夫も何とも言えない味があって心に残りました。演じ
た運萬治男という方、普段は遠野で農業を営みながら、昔話を語り継ぐ活動
をされているそうで、語り部としての長年の経験からか、その口調、言葉が
魅力ありすぎ。


ですが、メインで描かれるストーリーが今イチしっくりきません。

津波で母を亡くした少女。
そして、三年前にこの海で夫が自殺した。その遺体捜索で世話になった漁師
の安否が気になってこの地を訪れた女性。

彼女たちの物語が、薄い、というか、弱いな、と感じてしまいます。

あえてそうしたのでしょうが、あまりに淡々とした描写で、一青窈が演じる
公子の訪問者としてのキャラが見えて来ません。

公子の息子、司は子供らしい無邪気さで、線路を歩きながら暗記した三陸沿
岸の駅名を諳んじるテッチャンぶりを披露するシーンが、その被害の大きさ
をイメージさせて心に残りましたが、そういうささやかなシークエンスが母
の公子にも何かあれば、もう少しドラマらしくなったように思えます。


エンドロールで分かったのですが、演出は高橋陽一郎。妙に舞台的な演出を
したり、鏡を用いたカットがあったりとか、ちょっと変わった作風の演出家。
大河ドラマ「天地人」でのスポットライト演出、と言えば「ああー」と思い
当たる方も多いかと(笑)。あれはねぇ、批判も多かったので…。
過去には国内外の様々な賞を受賞していますが、最近はその才能も正直、空
回りしているか?




続いて「明日をあきらめない…がれきの中の新聞社~河北新報のいちばん長
い日~」
「3.11その日、石巻で何が起きたのか~6枚の壁新聞」の2本。

共に、現地のローカル新聞社が震災直後、被災者に情報を伝える為にどのよ
うに奮闘したかを描く実話を元にしたドラマです。

「明日をあきらめない…がれきの中の新聞社~」は予想外にテレビ東京が健
闘していましたが、空気感が無さ過ぎたのが残念。登場人物がほとんど標準
語で東北っぽくないし、低予算を感じさせる絵作りの弱さが目立ちました。

キャストは全体的に抑えた演技に徹した印象。変に「創る」ことだけは避け
たかったのでは、と思われます。斉藤由貴も中年おばさんをしっかりと演じ
きっていました。
渡辺いっけい演じる女川販売所所長の登場が唐突で、観ていて一瞬混乱して
しまいました。事前に登場させ、キャラ説明をしておくべきだったのでは?。

とはいえ、原作がある実話を素直にドキュメンタリータッチに描いたドラマ
として、創り手の真摯な姿勢を感じられましたし、全体的に悪くはなかった
です。
辛いのは、阪神大震災において酷似した状況を描いた2年前のドラマ「神戸
新聞の7日間」
を思い浮かべ、比較してしまうところ。あれの出来がとても
良かったので、比べるとどうしても・・・



そして「3.11その日、石巻で何が起きたのか~6枚の壁新聞」ですが、、、
うーん。
正直言って、失敗作では。

津波を描くにあたり、実際の映像を挿入。さらには俳優の演技と合成させて
いました(またその合成がイマドキにしては陳腐…)。
あの震災の映像を「素材」としてドラマに用いる。
これには、どうしても違和感を感じずにはいられません。
あと、コマーシャルの入れ方が乱暴すぎ。こんなにヒドいCM割りはそうそう
お目にかかれないほど。



前述しましたが、私はドラマの題材として、東日本大震災は未だデリケート
すぎると思っています。じゃあ、何年経ったらいいんだ? と聞かれても、
答えは分かりません。

過度な自粛ムードは必要ない。でも、安易に震災ドラマなんて創って欲しく
ない。


NHKスペシャルで、4日に「東日本大震災 映像記録 私が見た3.11」、
5日に「38分間~巨大津波いのちの記録」が放映されました。
どちらも素晴らしいプログラムでした。あまりに強烈な現実の映像。あまり
にも過酷な被災した人々の記録。TVの前で何度も息をのみ、絶句しました。

この壮絶な現実が持つ力に、フィクションがかなうはずもありません。

じゃあ、ドラマという「作りもののおはなし」は、どうやってこの大震災と
向き合い、関わっていけばいいのだろう?


とても難しい問題です。
簡単に答えは出せないと思います。

実際にドラマの制作に関わっている方々も、おそらくは自らに問いかけ続け
ていらっしゃるのでは、と思いますが、願わくば答えを早急に導き出すこと
無く、じっくり考え、納得のいく答えとして、作品を生み出して欲しい。
ドラマファンとして、そう願っています。

阪神・淡路大震災から15年を経て、「その街のこども」という傑作も生まれ
ました。いつか、東日本大震災をテーマにしたドラマでも秀作が生み出され
ることでしょう。





【それからの海 キャスト】
 
岩手県田野畑村の皆さん
谷口一香 :橋本麻由…田野畑中学校の一年生。母を津波で亡くした。
谷口喜一 :三浦誠己…一香の父。漁師。船は流された。
谷口朝夫 :運萬治男…一香の祖父。
近藤公子 :一青窈 …かつて世話になった喜一たちを心配し、田野畑を訪れる。
近藤 司 :津波古太輝…公子の息子。てっちゃん。
北上 保 :鍋山晋一…ボランティアで田野畑に滞在している青年。
漁師 :藤澤信泰

【スタッフ】
原案:吉村 昭「漁火」
作:櫻井 剛
音楽:松本俊明
制作統括:菓子 浩
演出:高橋陽一郎
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【明日をあきらめない…がれきの中の新聞社
      ~河北新報のいちばん長い日~ キャスト】

武田真一:渡部篤郎 …河北新報 編集局報道局長
丹野綾子:小池栄子 …河北新報 編集局報道部記者
中島英一:金山一彦 …河北新報 深沼販売所所長
中島百合子:斉藤由貴  …英一の妻 
鹿又久孝:田中要次 …河北新報 編集局報道部次長
武田俊郎:長谷川朝晴 …河北新報 編集局報道部記者
原谷守:小木茂光 …河北新報 編集局整理部長
荒浩一:宇梶剛士 …河北新報 営業本部販売部長
佐藤純:伊藤正之 …河北新報 総務広報部長
渡辺龍:戸次重幸 …河北新報 志津川支局記者
菊池道治:鶴見辰吾 …河北新報 気仙沼総局長
阿部喜英:渡辺いっけい …河北新報 女川販売所所長
一力雅彦:中原丈雄 …河北新報 社長
太田巌:西岡徳馬 …河北新報 編集局長
中島一清:小柳心 …中島家の長男
中島大夢:佐野和真 …中島家の次男
中島慶:水野真典 …中島家の三男
中島二千華:北村燦來 …中島家の長女
ナビゲーター:池上彰

【スタッフ】
原作:「河北新報のいちばん長い日」(河北新報社著 文藝春秋刊)
脚本:横幕智裕
監督:千葉隆弥
チーフプロデューサー:福田裕昭、岡部紳二
プロデューサー:鈴木亨知、浅野太、齋藤智礼
制作:テレビ東京
制作協力:ダイナマイト レボリューション カンパニー
プロダクション協力:スタジオブルー
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【3.11その日、石巻で何が起きたのか~6枚の壁新聞 キャスト】

▼石巻日日新聞の社員たち
平井美智子:戸田恵子 …報道部デスク
水沼幸三:AKIRA …記者
横井康彦:渡部豪太 …記者
秋山裕宏:袴田吉彦 …記者
外処(とどころ)健一:長嶋一茂 …記者
熊谷利勝:桝太一 …記者
武内宏之:柄本明 …報道部長 
近江弘一:中村雅俊 …社長

秋山知絵;黒谷友香 …秋山の妻      
水沼のり子:多岐川裕美…水沼の母親
水沼健一:勝野洋…水沼の父親
外処君男:市川左團次…外処の父親
平井静江:吉行和子…平井の母親
炊き出しの女性:馬場典子
語り:小林清志

【スタッフ】
脚本:青柳祐美子
企画原案:角川SSC新書「6枚の壁新聞」(角川マガジンズ刊)
テーマ曲:山下達郎「希望という名の光」
プロデューサー:西川宏一(日テレ)、藤井裕也(AXON)、菊池淳夫(東映)
総合プロデューサー:岩間玄(日テレ)
監督:近澤駿
協力:東映東京撮影所
制作協力:ローリング
製作著作:日テレ
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テーマ:ドラマ感想 - ジャンル:テレビ・ラジオ

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11/17(土)『それからの海(ロング・バージョン)』上映

11/17(土)に『それからの海(ロング・バージョン)』147分)を特別上映します。入場無料です。テレビ放映版と比べて遥かにまとまって見応えある作品となっています。よろしければお越しください。
http://www.tamaeiga.org/2012/program/010.html

  • 2012/11/15(木) 08:56:17 |
  • URL |
  • TAMA映画祭スタッフ #-
  • [ 編集 ]

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