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佐野元春のザ・ソングライターズ 2ndシーズン Vol.11・Vol.12

'10/9/11,18 放映 NHK教育

佐野元春のザ・ソングライターズ セカンドシーズン
ゲスト:山口一郎(サカナクション)(Vol.11・Vol.12)

「ソングライター=現代の詩人」
「ポップソングは時代の表現であり、時代を超えたポエトリー」
「テーマは歌詞。音楽における言葉が一体どのように生み出され、多くの人に届い
ていくのか。学生達と探求していきます」

そんな佐野元春の言葉で始まる「ザ・ソングライターズ セカンドシーズン」。
最後のゲストはサカナクションの山口一郎。残念ですね、もうこれで終わりとは。

では抜粋の書き起こしです。



リーディングは「enough」(『シンシロ』(2009)より)。


読書好きということ。父親が学生運動をしていてかなりぶっ飛んだ人だった。スパ
ルタで様々な本を読むよう教育されたそうだ。
どんな人の本をよく読んだか、と聞かれ、吉本隆明・石原吉郎の名を挙げる。

山口さんのライティングを僕なりに感じてみると、例えば寺山修司とか、宮沢賢治
とか、そうした作家の感受性と同じようなものを感じる。この辺の作家については
どうですか?

 「ある独特の、日本独特のセンチメンタリズムというものがあると僕は思ってて、
  僕の周り、当時小学校や中学校ぐらいの時に、同じセンチメンタルを感じる仲
  間がいなかったんですよね。で、僕が自分の中のセンチメンタルを比較出来た
  のが文学の中だったんで、宮沢賢治さんもそうだし。僕は短歌・俳句も好きで、
  石川啄木さんのナヨナヨしい(笑)、短歌とかも。幼い頃は判らなかったけれど、
  今になって判って来たりとかもある。常に僕の中にはセンチメンタルが漂って
  いますよね。後、種田山頭火さんの自由律俳句というのが、俳句というフォー
  マットを壊している…」
そうですね。
 「すごく僕はロックだと思ったんですよ」
なるほど。
 「何か生き方自体も、感銘出来たというか」
山頭火の俳句に触れたのはいくつぐらいの頃ですか?
 「中学校入る前、小5、6ぐらいですね」
僕も山頭火好きですけど、山頭火の作品のどういったところが魅力なのかもう少し
詳しく語って欲しいんですけど。

 「見てる景色であったり、時間をそのまま言葉にするんですよね」
あー、ずっと放浪しているから、見たままを自由に書いているという…
 「『分け入っても分け入っても青い山』という句があって、それはどこまで歩い
  ても山だらけだと。いつ自分は辿り着けるのか、そういうことを句にするんで
  すけど、その…情景描写なんだけど自分の人生と比較出来たりするし、自分の
  感覚とそれを天秤にかけたりして、それが僕のパーソナルな部分に響きました」
 

詞を書く時のアイデア発想について。
山口は曲を書こうとしない、と言う。お風呂に水が溜まってあふれる瞬間。それを
日常生活を送りながら待っているそうだ。イメージが満ちるまで待つ、途中で浮か
ぶイメージ、言葉は放っとく。メモには残さないらしい。
 「よくこの番組でも、歌詞手帳だったりノートを持って来られた方いたじゃない
  ですか。凄いなって思って。僕、吐き出しちゃったらもう興味無くなっちゃう
  んですよね。だから鮮度が大事なんです。僕の頭の中で出て来た、その瞬間が
  一番気持ちいい」
なるほど。面白いですね。


定型質問。
好きな言葉
 「夜」
嫌いな言葉
 「愛」
うんざりすること
 「言った言わない、の争い」
普段の生活で一番うれしいこと
 「ライブが上手くいったとき」 
好きな映画。心に残っている映画。
 「邦画だと、黒沢清監督の「回路」(2001)。ホラー映画が好きなんですよ。恐怖
  というものを映像で伝えるのって技術が必要だと思うんです。「回路」を初め
  て観た時、何という技術だ、と。さすが、黒沢清監督だと」
ちなみに黒沢清監督は立教出身です。
 「あっ(驚)」
僕と同じ年代です。
 「…(驚いて佐野を見つめ、会場周囲をまじまじと見渡す)」(会場笑)
洋画では?
 「洋画では「オー・ブラザー!」(2001)。コーエン兄弟の作品ですね。弱い人
  だったりダメな人が段々強くなっていったり、上手になっていく映画が好きで。
  「オー・ブラザー!」は音楽としても素晴らしかった」
他になりたかった職業
 「喫茶店のオーナー」
お父さんと一緒?
 「…そう言われるとイヤですね(笑)」
絶対にやりたくない職業
 「政治家」
人から言われてカチンとくる言葉
 「状況によると思うんですけどね…「まあ、良かったんじゃない?」とか」
女性から言われて嬉しい言葉
 「これも状況によりますね…「かわいいね」……(学生たちを見つめ)失笑?(笑)」
いいですよ。死ぬ前に愛する人に残す伝言
 「じゃあね。その前に語ってると思うんです。事故とかじゃなくて病気ならその
  前に時間があるはずですから、そこで結構整理ついてる分、あっさり別れた方
  が引きずらないかなと、相手が」
正直に答えてくれて、どうも有り難う。


抽象的なことですが、なぜ、僕らが詞を書くのか、という本質的なことを聞きたい、
と言う佐野の問いかけに、僕自身生きている間に溜まっていくものがあって、それ
を発散の場として音楽が、詞を書くことがあるのかな、と答える山口。

サカナクション、にとって歌詞というのはどういう意味を持っているのですか?
 「言葉を伝える為にどういうサウンドを取り入れるか。ちょっと戦略的ですけど。
  そこが凄くある気はしますよね。その、これだけインターネットであったり、
  ツイッターであったり、情報が簡単に手に入る時代になったじゃないですか。
  そういう時代だからこそ、戦略ということ自体が表現として、成立するように
  なっていってるんじゃないのかなと思って。何か伝えたいことがあって、それ
  をじゃあ、どうしたらもっと沢山の人に伝えられるのか。それがサカナクショ
  ンでは僕の言葉を伝える為に、どういうサウンドが今の時代に合っているのか。
  それがひとつ、テーマとしてありますね」
わかります。山口さんは誰の為に詞を書いているのだろう?どんな人に向けてこの
詩を、この音楽を届けたいと思っていますか?

 「・・・二つあって。一つは自分の為。生きる上で必ずしてしまう行為、として
  あって。もう一つは…僕は札幌から東京に出て来て、本当に日本の音楽シーン
  というものが大好きになったんですよ。ポップミュージックもあるしアンダー
  グラウンドな、マイノリティな音楽も沢山あって。だけど大抵自分の好きな音
  楽ってマイノリティだったんですよね。そのマイノリティな音楽がなぜ、沢山
  の人の元へ届かないのかっていう理由。それをすごい考えていた時があって、
  きっと、メジャーな表面に流れないからだな、と思ったんです。じゃあマイノ
  リティの素晴らしいと思う音楽のエッセンスは、どうしたらメジャーの表面に
  届くんだろう、って考えた時に、大衆に届く、エッセンスを持ったまま、マイ
  ノリティなものを出す。そうすることでもっと日本の音楽シーンは面白くなる
  んじゃないのかなって思ったし、僕が言葉を書いたり曲を作る上で、そこへの
  モチベーションというものが、最近はすごく働いてますね」
  
アートや音楽において存在するフォーマットを壊すことが、近代においては難しく
なってきた。特にロックでは。と語る山口。精神論としてのロック、ジャンルとし
てのロック。いろいろな捉え方がロックにはあるがいろいろある分壊すのが難しく
なって、それがつまらなさ、飽きられる要因になっていると。
音楽を作る時に気を付けているのは、常に自分の今いる立ち位置のフォーマットを
壊すということ。それを心がけてやっているとの事。


ワークショップ。
あるキーワードから触発されたワンフレーズを学生に書いてもらい、それに音楽を
乗せるとどのように言葉が変容していくか。

キーワードはサカナクションの曲のタイトルから「アイデンティティ」。作品全て
に二人が目を通し、6つセレクト。

 こぼれ落ちた細胞
 埋まらない自由帳
 乱反射の光
 骨格を探す、ハンマープリン。
 他人という名の鏡
 無限万華鏡


それぞれ皆バラバラに書いたんですけど、こうして6つ並べてみると偶然ではある
けれども、ストーリーが見えて来ますね

 「この過程というのは、実は音楽を作る上でもよくあるオペレーションという感
  じで、いろんな言葉が一つの意味を持って集まって来た時にそれをどう組み合
  わせるか。それを不規則に組み合わせることで逆にイメージが出来て来たり…
  それを今日、皆さんに体感してもらえたらな、と思います」
  
この六行詞に音楽を乗せる。曲はサカナクションの「Paradise of Sunny」。
佐野と山口が交互に6つの言葉を朗読。

 「これはもう、シュールですね」
シュールだね。
 「でも例えば、この音源が自分の大好きなアーティストのCDの中に入っていたと
  思って聞くと、アートに聞こえますよね。言葉プラス、音が入ることで言葉の
  持つエネルギーがより増していくというか、奥行きが出てくる。それが音楽の
  面白さだし、僕らがいつも音楽で遊んでいる手法なんですね」
そうですね。悲しいメロディに楽しい言葉を乗せたらどうなるかとか、セクシャル
なメロディに過激な政治的なメッセージを乗せたらどうなるんだ、例えばね。そう
した、実験というのは割と意識的にやられていますね。

 「(うなづき)僕は、よい違和感を探すことが音楽を作る上での一つのテーマなん
  ですよね。その違和感が好きか嫌いか。それがサカナクションらしさ、の基準
  になってる」
なるほど。面白い。


続いて10編の言葉をセレクトし、10行詞にする。
出来た詩は

 マーブル模様の背骨
 養殖のマグロ
 桃源郷
 尖った鉛筆の芯
 書きかえ可能なデータ
 新しい服を着る私
 眼鏡
 以外にやわらかな骨格
 はらわた
 ある一部であること。



これを作った学生本人が「Paradise of Sunny」に乗せてリーディングする。山口
も一人写りたくない?風邪で声が出ない?学生がいたのか、代役参加。

このアイデンティティという言葉はすごくシリアスで、使い方によっては危ないと
思っていた、と語る山口。
当初、「アイデンティティ」という曲は「アイデンティティ少年」というタイトル
で構想していた。少年という言葉を付けることで柔らかくなり、奥行きが出てくる
と思っていたが、詩を書いていると方向性が一つにしか行かなくなった。少年と言
う言葉に逆にフォーカスがいった。そこでアイデンティティという言葉だけ題にし
て、この言葉の持つ怖さを、シリアスさをどう曲の中で和らげるか、もっと色んな
捉え方をしてもらえるか。その制作の作業が、過程が僕の中でアイデンティティに
なっていったと山口。
 「だから今日、皆がこういう風に「アイデンティティ」という言葉からいろいろ
  連想して、実際に言葉を発して、音楽に乗せて、いろいろなイメージを持って、
  それを僕たちが見て来たというのは、これからまた新しく音楽を僕も佐野さん
  も作っていく上で、背中を押されたような感じがしますね」
素晴らしい感想だね。協力してくれた皆さんどうもありがとう。
  


講義終了後。

作詞作曲というのは勿論、芸能表現の一部ではあるんですけれども、僕思うに、他
の芸術に引けを取らないコンテンポラリーの、一級の表現フォーマットだと思うん
ですね。非常に懐の深い表現フォーマットです。ソングライティングというのはね。
この番組を観てくれた新しい世代、そういう人たちがまた新たなメソッドを持って
素晴らしいソングライティングをしてくれることを望みますね。将来、この番組を
観てソングライティングを始めた、という人に出会えたら最高ですね…





これにて「佐野元春のザ・ソングライターズ 2ndシーズン」も終わりです。

2ndシーズンは若手アーティストが多かったですね。もっとベテランの方からも
話を聞いて欲しかった思いはありますが、とても素晴らしいプログラムでした。
私が若手アーティストをあまり知らないだけで、世間的にはこの方が需要はある
かも知れません。

なじみの無いアーティストでもこんなに興味深いのですから、ファンの方々には
堪えられないのでは。佐野元春の進行もシンプルながらもお見事。同業者だから
こそ分かることもあるでしょうし、聞けることもあるでしょう。もっと続いて欲
しいと強く願います。書き起こしは少々しんどくなって来ましたが(笑)。

来年の夏にはサードシーズンがあるのかなあ。期待しましょう。


「佐野元春のザ・ソングライターズ 2ndシーズン」全12回
NHK教育 毎週土曜 夜11:45-0:15 (再放送は次週の土曜 昼10:30-11:00)



←Vol.9・Vol.10 ゲスト:ライムスター へ

サードシーズン Vol.1・Vol.2 ゲスト山口隆 へ


テーマ:NHK教育 - ジャンル:テレビ・ラジオ

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  • 2010/09/27(月) 17:53:54 |
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