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佐野元春のザ・ソングライターズ Vol.9・Vol.10

'09/9/5,12 放映 NHK教育

佐野元春のザ・ソングライターズ  ゲスト矢野顕子(Vol.9・Vol.10)

「ソングライター=現代の詩人」
「ポップソングは時代の表現であり、時代を超えたポエトリー」
「テーマは歌詞。音楽における言葉が一体どのように生み出され、多くの人に届いて
いくのか。学生達と探求していきます」

そんな佐野元春の言葉で始まる「ザ・ソングライターズ」。ゲスト五人目は矢野顕子。
作詞論、というよりも彼女の人生論と言えるような内容。興味深いものでした。
特に、ワークショップで歌が生まれる瞬間を観ていて、正直鳥肌が立つような思い。
彼女はジャズをやってますから、インプロビゼーション、即興性というものには強い、
というか慣れてらっしゃると思いますが、それにしてもスゴいです。

またまた抜粋ですが、書き起こしてみました。



リーディングは「I AM A DOG」
 ーかっこいい~(笑)。すご~い。
どうもありがとうございます。どうですか、詩だけ抽出して人にリーディングされる
というのは?

 ー初めて、ですね。で、うん、かっこいい詩ですね(笑)。
 
矢野さんの曲を今回改めて聴かせて頂いて、まず思ったのが「同性へのシンパシー」。
ソングライターとして、同性の目、耳、というのは気になりますか?

 ー反響は気になりませんが、というのは、それは最初に考える事ではない。ですけ
  れども、女性にね、自分の友達に語りかけるような、例えば電話でね、仲の良い
  友達と「そおだよねえ」とか話してるのと、ピアノに向って「そおだよねえ」と
  言うのは同じ、かも知れませんね。
それは、ご自身の中では日常の会話にメロディーが乗っかる、という感覚ですか?
 ーあの、私、自分の事を作詞家だと思った事は、生まれてから一度もないんです。
  自分の中から出てくる言葉が、音楽と一体化している、ぐらいに考えているんで
  すね。ですから自分のその時の気持ちとか、考え方とか、それこそ体調だとか、
  そういうものが全部相まって、その時の私が何を表現するだろうか、というのが
  基本だと思うのね。ですからいつも、別に特定の人に向けて電話しているとかで
  は無いのですけれど、基本的に私が普段言ってる事と、歌詞として歌われている
  事は、差異は無いと思っています。
それはよくわかります。歌を聴けば矢野さんの生活がそのまま・・・
 ー何の加えもないです(笑)
その意味ではとても正直なんですね。だから胸を打つところも多々あると思います。


定型質問
好きな言葉。
 ーええっと、・・・ありがとう。
嫌いな言葉。
 ー人を卑下したり、品格を貶めるような言葉は全部嫌いですね。
好きな映画。
 ー難しいなあ~。繰り返し繰り返しDVDで観てるのは最近では「たそがれ清兵衛」。
  アメリカでは「トワイライト サムライ」って言うんですけど。
死ぬ前に愛する人に残す最後の伝言。
 ーもう、ありがとう、しか無いでしょう?
 

曲を創るフローについてお聞きしたいのですが、詩が先なのか、それともメロディが
先なのか・・・

 ー曲自体によりますけれど、詞だけ、先に書きたい事があって、それに曲を後から
  付けることもありますけど、多いのはやっぱりメロディの出だしが出来て、それ
  に言葉が後ろから、「ちょっと待ってぇ」って感じに追いかけて乗っかってくる
  みたい、なことが多いかな。

矢野さんが他の人の曲をカバーする時に、選ぶ基準はあるのですか?
 ーここはね、100%では無いのですが、私には珍しく言葉が大きな要素になってい
  るんです。その詞の中に、私が普段の生活の中で口から出さない言葉がもしも、
  入っているならば歌わないですね。ラジオから流れる曲で、「あ、これ何かいい
  かも」と思ったなら、一番最初にするのはその曲の歌詞をチェックすることなん
  です。歌詞を見て、「オッケー」と思ったら、CDを買ったりして何回も聞いて、
  そしてピアノに向って自分でやってみると、なんとなく出来るんです。
  

矢野顕子は1990年、ニューヨークに生活の拠点を移している。
ニューヨーク、マンハッタンという街はソングライター矢野顕子にとって、歌にした
くなるほど魅力的な街ですか?

 ーそうね。そう思いませんか?
思いますよ。はい。
 ーねえ。あの街の持つチカラ、というのは特別だと思います。人を磁石の様に引き
  つける何か、巨大なものがありますね。
居心地はいいですか?
 ーとてもいいですね。
そうすると、ホーム、家についてお聞きしたいのですが、矢野さんの曲の中にとても
よく出てくる単語の一つに、ホーム、

 ーホント?
家。というのがあります。もしくはホームを思い起こさせるようなライン。矢野さん
が歌の中でホームと歌う時に、そこにどんな思いが込められているのかなと思って。
例えば「Home Sweet Home」。ここでは、”壊した家を出たくせに 今私達は新し
い家を作る”。矢野さんが歌の中でホームに込めた思いは・・・

 ーそれ、とってもいい質問ですね。その同じ曲の中に、”たとえ一人きりになった
  としても Home Sweet Home”、あれね、私の真髄かも。真髄って言わない?
  正直なとこかも。つまり、ホームというのは家族では無いんです。家に帰ったら
  家族が待ってて、それで、カレーの匂いがしてる、というものに価値を見出して
  いないんです。自分が自分であること、それを確立する場所、っていうのかな。
  人間としての私がちゃんといられる場所。全ての人がそれを一人ずつ持ってこそ、
  そういう人が集まりあったら家族になれる。理想はね。でも、日本人にとっては
  これは最も難しいコンセプトかもって思うんですけどね。


ワークショップ。
「愛をめぐる5W1H」というテーマで学生たちに簡潔に記入してもらい、その中か
ら曲として成立しそうなものを佐野が選び出し、矢野に提案する。

1つめ
僕が読みますね。・・・
 昨日の朝 年老いた父が 玄関先で 帰りが遅いから 
 朝帰りした20すぎの私を しかった

学生A「昨日、本当にあったことをそのまま書いただけなんですけど」
矢野さん、どうですか?
 ーいいね~。若い人に愛なんて言うとすぐ、恋愛。愛=恋愛なんだけど、こういう
  のを出してくれるなんて嬉しいな、なんか。私も親の立場で。
  
2つめ
 いつでも 私は どこでも 君とつながっていたくて 
 ケータイを何度も見てしまう

 ーこれね、ご自分で、歌の文句を書こうと思って書いた?こういうね、フレーズが
  パンパンパンときてるから、これは歌に成り易い。
とても成り易い。
 ーですよね。(ピアノを弾き始める)できるかな。今、私なんにも考えてなくて。
  この文章を見ながら・・・・
矢野、即興でメロディをつけ、歌う。見事に歌が、出来た。
素晴らしい。信じられない・・・(場内拍手)
 ーもう、出来やすい、形になってるから。メロディが付くことによって、ここに、
  聞いた人の想像力が入る余地が出来る。
 ーあの、これ私以前質問されたことなんですけど、どうして矢野さんは、男の人の
  創った曲ばかり歌うんですか?って聞かれて。そんなこと考えたことも無かった
  のよ。そういえば私、女性の創った曲って少ないわ、もの凄く少ないわ、って。
  どうしてなのか考えてみた。ぼんやりと分かった事はね。女性が書いた曲はね、
  いつでもそこに「わたし(作成者)」がいる。一枚剥いても二枚剥いても、わたし。
  そうするとね、第三者の立場でいる矢野顕子は入れないんです。
 ー先ほどの詩はユニバーサルな感じで、難しい言葉が入っていないから。
 ー簡単な言葉で、難しい事を言うのは、一番難しい。

3つめ
これ、僕面白いなと思いました。
 先週 自分が 自宅で
 映画のワンシーンを見て 電話をした
 1.5年ぶりに親にかけた。声が変わっていた

 ーねえ、1年半も親に電話していないの?それはないだろ、君。(場内笑)
 ーこの親がらみっていうのは普段、私たちの聞くヒット曲には殆ど含まれていない
  要素なのね。愛の歌、商業的に成功する歌っていうのは殆どが、恋愛、男女間の
  歌。でも、よく考えて欲しいんだけれど、私たちの一生の内に、恋愛だけのこと
  考えてどれだけ生きられるだろうって。恋愛してなくても、冷蔵庫開けて何かが
  入ってれば明日生きられる。どっちが大事?ってこと。
 ーこの詩はね、このままでは曲をつけるのは出来ないことは無いけど・・・
出来ないことは無いですけど、もうちょっと細部を磨いた方がいいですね。
 ーこの気持ちを、ちゃんと表現するだけの詩を・・・。これはね、佐野元春の方が
  上手いですよ。これ(紙を突き出し)リライトして。はい。(ペンを出す)
え、あ、はい、わかりました・・・(書き始める佐野)
この、映画のワンシーンを観て、これどんな映画?
学生C「ライフ・イズ・ビューティフルっていう映画で・・・」
ああー、泣ける映画だね。
 ーああ~、そら電話したくもなるわ(笑)。毎日観なさい(笑)。
君の詞を音楽詩に変換したらどうなるかなって、僕なりにやってみた。タイトルは、
「LIFE IS BEAUTIFUL」(笑)。

 先週のこと 僕が住む部屋から 電話した
 映画をみたあと 電話した
 久しぶりに母の声をきいた
 僕が知っている 声じゃなかった

 
 ーう~、なんか洗練されましたね。
どうですか?僕が変えてしまったけれども、君の意図は変わってない?
学生C「自分の描いた絵よりも佐野さんのほうがキレイに見えました」
僕たちソングライターは、ここにリズムが乗ったらどうなるか、メロディが乗ったら
どうなるか、小節がここに加わったらどうまとまるか、同時に考えているんですね。
多分これで、うまくいくかな、と。

 ー見せて。・・・ちょっと、字が汚い・・・(笑)
ごめんなさい。
 矢野、ジャズっぽい曲調で弾き始め、歌う。見事に、歌が出来た。

スゴい、信じられない。(握手を求める佐野)
今、矢野さんが見事トライしてくれましたけれど、何か率直な感想は、誰かあります?
学生D「歌詞だけだと、平面的な感じでしたが、メロディが、旋律がつくことで立体
   的になったような感じがしました。まるで遠近法が入ってきたみたいで、いろ
   んな角度からイメージが出来るような・・・」
距離が出て、立体になったと。それいい答えだと思います。
…矢野顕子さんを迎えて、僕たちは素晴らしい瞬間を共有出来ました。何も無いとこ
ろに言葉があり、そこにメロディが与えられ、景色が立体的に立ち上ってくる。その
瞬間を僕たちは目撃した、ということだと思います。矢野さん、どうもありがとうご
ざいました。



学生からの質問。
学生E「ある程度思想を固めて作品を提出したのに、聞いた人の中で違う解釈をした
   人がいた場合、その作品は失敗だと思いますか?」
 ーあ~、いい質問ですね。いや、むしろ成功ではないでしょうか。あのね、良い例
  があるんですけど、私に「ラーメン食べたい」という曲があるんですが、それを、
  奥田民生さんが歌って下さってて。で、彼がギターかき鳴らして歌う「ラーメン」
  は、私の食べたいラーメンじゃないの。(場内笑)でもね、すごくいいんですよ。
  私のラーメンじゃない所に湯気がワァっと立ってて、美味そうなの。私はそれを
  選んで食べないけど、あー、みんなその美味しそうなラーメン食べれてよかった
  ねぇ~、と言えるの。むしろ、他の人の想像力が歌い手であろうが聞く人であろ
  うが、どんどん入ってくれた方が、私はその曲が喜ぶんじゃないかと思うんです。
  
学生F「私は法学部ですが、大学に入ってから女ということに関して敏感に反応する
   ことが多くて、女性であることで制限されることが多いことに気付いたんです。
   で、矢野さんは女、であることに対してどう考えておられますか?」
いい質問ですね。
 ーあのう、社会は不公平に出来ているんですね。絶対公平になんないの。だから、
  変えたいのは山々なんですが、おいそれとは変わらない。ならば、出来る手段と
  してコチラが考え方を変える。ということは出来るでしょ?で、私自身が幸せで
  ある為には何が必要であるかって言うと、ワタシが、私に誇りを持つ。こーいう
  の(肩で風切ってという仕草)じゃなくてよ。私が存在することに意義がある、
  ということに対する認識ね。それを高く持つということが一番大事。そうなると、
  女性であろうが男性であろうが、関係ないの。
 ー例えば私たちアーティストの場合はね、自分の創るものによって私を評価して。
  と、言えるわけです。ですから、もし法律を扱う面でならば仕事で、自分にしか
  出来ないこと、自分のやり方を確立して、「どうよ!」と出せる様に。たとえ、
  負けることがあってもオッケーだから、それで。そして、そういう姿をちゃんと
  認めてくれる人は意外といるもんです。と思います。頑張って下さい。
学生F「ありがとうございます。すごく安心しました」


次回、最後のゲストはDragon Ash のKj(降谷建志)。
どんなやりとりになるでしょうか。


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テーマ:NHK - ジャンル:テレビ・ラジオ

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