TATEVISION

tateの観た映像、読んだ本、思った事、、、

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

佐野元春のザ・ソングライターズ Vol.5・Vol.6

'09/8/8,15 放映 NHK教育

佐野元春のザ・ソングライターズ  ゲスト松本隆(Vol.5・Vol.6)

「ソングライター=現代の詩人」
「ポップソングは時代の表現であり、時代を超えたポエトリー」
「テーマは歌詞。音楽における言葉が一体どのように生み出され、多くの人に届いて
いくのか。学生達と探求していきます」

そんな佐野元春の言葉で始まる「ザ・ソングライターズ」。三人目のゲストは松本隆。
小田和正、さだまさしの時にはゲストとしての接し方でしたが、今回は佐野さんの先
輩になる筈だけど時々タメ口になったり、佐野さんが松本さんにシンパシーを感じて
いるというか、本当に興味ある人に話を聞く、より近しい人に話を聞いている雰囲気
でした。合間に深く頷く仕草が印象的。

10代の時、微熱少年という松本隆の小説を読みました。自身が監督で映画化もされ、
その映画で使用された
「くずせるものなら、くずしてごらん。」:CLAXON
「長い髪のMaria」:CLAXON
「君の名前を呼びたい」:The東南西北
は大好きな曲。CLAXONなんて、あっという間に消えちゃったけど。


いやー、ホント全部書き起こして紹介したいけど、いつものように抜粋で。



今の聴衆の皆さんには信じられないかも知れないけれど、日本語のロックというもの
に批判的な意見もあったんでしょう?

(1971年5月号の「ニューミュージック・マガジン」にて「日本語ロック論争」と
呼ばれる座談会が行われた)
 ー向こうは実績ある大人たちな訳。
いってみれば権威、ですよね。その当時の。
 ー全員、権威。各界の権威がどっと集まって。こっちは実績も何も無い若造な訳。
  フェアな対談じゃない(笑)。
わかります。この小僧ッ子が何、俺たちが知ってるロックを日本語で歌うぅ?みたい
な、そんな視線だったんじゃないでしょうか。

 ー(うなづいて)それぐらいの差はあるんだけど、後で読み返すとけっこう堂々と
  意見言ってるね。反対する人はどうぞご自分の道をいって下さいって・・・
なるほど。ロックの表現をしていく上で松本さんの中には、権威に対するちょっとし
た反抗心が・・・

 ーずっとあるね。ベースにあるね、僕の中に。
ああ・・・(深くうなずく)
 ー困っちゃうのは自分が権威になること(笑)。だから、ならないように外れてるん
  だけど。
面白い発言です。すると『はっぴいえんど』は正に松本さんの中にある、反抗という
か、権威に対する異議申し立て、それが含まれていると。

 ーて言うか、原点だね。僕のね。
すごく面白いです。
 

リーディングは「1969年のドラッグレース」

 ー(1969年の)ドラッグレースってのは別れの手紙ね。時々やるんだよね、僕は。
  ピリオドを打つ自分がいてさ。それを受け取る人に歌わせるの(笑)。
ああ・・・(深く感心)大滝さんはその事知っているんですか?
 ー多分。感じていると思う。で、嫌だったら拒否するからさ。歌ったってことは、
  了解したってことだと思う。
  
松本隆さんの詞を改めて自分流に朗読して分かったことは、言葉に、無意識に韻律が
あるってことですね。

 ーそれはね、言葉にとって最も重要な事だと思う。頭で韻を踏むのは「頭韻」って
  言うんです。そっちの方がやりやすい。だから『はっぴいえんど』の「春よ来い」
  とかがそうです。お行で韻を踏んでる。で、頭韻は最も韻だ、と聞いている人に
  意識させずに韻を踏む・・・
リズムを感じさせることが出来る。
 ーうん。
そうですか。凄く面白いですね。僕が興味を持ったのはそれまでの日本のヒット曲に
は無かった、いわゆる「綺麗」とか「歌留多」とかね、・・・

 ーああ~、あの、漢字ってね、見た目きれいだと思うんですよ。
はい、かるたって、ひらがなのかるたでは無く、漢字で歌留多って書くと・・・
 ーまあ、その辺は何て言うか、知的な遊び?
 
『はっぴいえんど』の中で興味があるんですけど、製作上のフローについてお聞きし
たいのですが、まず松本さんの詞が先にあったのか、それとも誰かのメロディーが先
にあったのか。

 ー当時はね、メロディー先行って無かったよね。
そーですか(感心)・・・
 ーうん。欧米にもほとんど無いって。
まず最初に言葉ありき、リリックありきで・・・
 ーそう。これデビッド・フォスターに言われたから。
そうですか。
 ーうん。あれは早めに直した方がいいと思う。
厳しい意見ですけれど、的を射てますね。


佐野元春のリーディングを受けて、松本隆が「風をあつめて」の詞を東京の下町にて
朗読。遠景に超高層ビルが立ち並ぶ見事なロケーション。鳩が横切る偶然さえも、こ
の画面造りに一役買っている。

定型質問。
ベタな質問するけど、いいかな?
 ーうん。ああ、それね。
松本さんの好きな言葉は?
 ー風(笑)。ベタに答える(笑)。
いいですよ(笑)。では嫌いな言葉。
 ー無い。言葉は全て平等だと思う。
うんざりする事は。
 ー詞を書く事(笑)。
好きな映画は?
 ー沢山あるんだけど、厳選するとね、「ドクトル・ジバゴ」(65)かな。もう一つは
  ね、最近観たんだけど、小津の「麦秋」(51)。
この先、歌ってもらいたい人は
 ー歌っている人全員。僕の詞をとにかく表現してくれる人は全て大切。
死ぬ前に愛する人に残す伝言は
 ー自分で気に入ってるんだけど、「ごめん」(笑)。
ごめん?ごめんですか・・・分かりました、あまり深く聞かない事にします・・・
 ーいろんな意味にとれるでしょ?。いいね。

1973年『はっぴいえんど』解散後について・・・
 ー『はっぴいえんど』は発展的解散、って、全員プロデューサー指向がすごい強い
  から、じゃあ四人プロデューサーを育てるというのが当時の事務所の考え方で、
  一年間やったけれど、ほとんど生活費にもならなかった(笑)。まだ、プロデュー
  サーというシステムが全くない時にやっちゃった。で、同時に娘が生まれてさ、
  この子、育つかなって。じゃあもう作詞家にでもなるかって。だから、なりたく
  てなった訳じゃない。なんとなく、気がついたら。で、友達三人ぐらいに、作詞
  家になるからよろしくって、話を振ったら、半月ぐらいで二つ詞を書いてって。
  だから、下積み期間ゼロ(笑)。


話題は松田聖子へ。
 ーあの人は瞬間で消化してしまう。だってこれからレコーディングしますよ、って
  いう時に詞を渡すんだから・・・
そうなんですか。事前に見てもらって、よく練習してきてもらうとか、そういうので
はないのですか。

 ーないない。3回練習して、で3テイクぐらい録ったらもう出来ちゃう。メロディ
  も聞いてない。ディレクターの鼻歌聞いて覚えちゃう。
 ーあれはね、かなわない。一般人には出来ない。その消化力の早さ。平たくいうと
  天才としか言いようが無い。

松田聖子'84年のシングル「ハートのイヤリング」で松本隆は佐野元春に作曲を依頼。
Holland Roseというペンネームで佐野元春は作曲、この曲はオリコンチャート1位
を獲得した。
この松田聖子プロジェクトで初めて僕は松本さんと仕事をさせて頂いた・・・
 ーそうそう、頼んだよね(笑)。
いまでも覚えてますよ。喫茶店に呼び出されて松本さんの前に僕が座って。開口一番、
こう言われたんです。「佐野君、松田聖子プロジェクトっていうのはね、ナンバー1
じゃないとダメなんだよ」・・・

 ーわはは(大笑)。それイヤな奴だね(笑)
もう、それだけでプレッシャーかかって。ナンバー1ヒットは僕、その時まだ無いで
すから。僕にそんな曲書けるかなって。とてもプレッシャー感じました。

 ーそれは、僕にとってもプレッシャーで。
僕も作曲家として、貢献したいと思って、それまでに出た松田聖子のシングル全部を
聴きました。

 ー(笑)
意外と真面目に取り組みました(笑)。でもその真面目さは、今聞き返すとわかります。
そして、自分が書くんだったら、それまでの作曲家がやってないことやろうと。で、
欠けてる要素は何か、それはブルースの要素ですね。ブルースの翳り。それを僕流の
メロディで表現出来たらいいな、って。


話題は松田聖子B面の曲について。
 ーこれは、僕の良いところで、力抜かなかった(笑)。B面までマジで作った(笑)。
普通、A面は凄く力入れるけれど、B面、フルーツサイドは適当に趣味を入れて・・
 ー筒美京平君でいうと、A面は右手で、B面は・・・
左手で?
 ーいや、左足で(笑)
左足?それ、凄い表現だなあ。


『はっぴいえんど』は、60年から70年代、政治的な季節の中での表現ということで、
当然松本さんの視点は反体制、既製に対する異議申し立てであったと思うんですが、
80年代以降、職業作詞家となられて、質もそうだけれど、より「量」を、売ることに
も関心持たれてますね。ここの変化は・・・

 ーいや、何も変化してない。ビートルズは質も量も高かった。
確かにそうですね。
 ー『はっぴいえんど』は量は最初から切り捨てたね。ファンサービスいっさいゼロ。
  ウケなくて当たり前で、最後の方ウケ始めちゃったから、居心地悪かった。
80年代に入ってから、エンターテイメント音楽の中枢である松田聖子プロジェクトに
関わった、ここは・・・

 ー『はっぴいえんど』の時に追求出来なかった、質も量も、両方狙いましょうと。
ライティングに何か変化は?
 ー無いと思う。それはね、時代が追いついたんだと思う。
ああ・・・(深く頷く)
 ーある種、『はっぴいえんど』の延長のことやってるだけだから。大滝さん引っ張
  り出して、細野さん引っ張り出して。いまだに「天国のキッス」が最高傑作だと
  思うね。


ソングライティング、リリックですが、多くの人たちは、作詞は感性で作るんじゃな
いの?と言う人が多いんだけれど、僕の意見としては、確かに感性も大事だけれど、
しかし、ソングライティングというのは技術、経験の方がむしろ少し大切なんじゃな
いかと唱えているんですが松本さん、これについてどう思いますか?

 ー逆だね。僕は。技術は忘れた方がいいと思う。ああ、忘れるんじゃなくて、スキ
  ルは高ければ高いほどいいと思う。語彙は人の何十倍もあった方がよりアドバン
  テージがある。でも、覚えた後は忘れちゃいなさいってこと。絶対に、ハウツー
  では書けない。ハウツーで書けることってもの凄く浅いこと。人間の心理もね。
  で、昔の人は心で書きなさいとか言ったけど、それも抽象的だから。忘れちゃい
  なさい、と僕は言うね。
松本さんは商業音楽の中で、常に売れる音楽と向かい合って来た。そうすると、何が
売れるのかっていうのは・・・

 ーいいものが売れるの。
それは、ご自身の技術ではない、と?
 ー技術じゃない。スキルは高いよ、僕(笑)。多分ね。自分で言ったらいけないかも
  知れないけど。語彙も豊富、だけどいつも真っ白。いつも真っ白でいられるのが
  僕の良いところ。
なるほど。


学生からの質問
「松本さんが多くのヒット曲を書かれた時には、人々の生活、仕草、いろんな部分を
観察なされてきたと思うんですが、そういった流れの中で70年代から現代までをどの
ように見ていらっしゃるか、教えて下さい」
 ーあのね、時代を映す鏡でありたいとは思うけれど、でも、例えば松田聖子がこん
  な形で残ってるというのは予測出来なかった。だからある意味、時代と歌は関係
  ないんじゃないかって(笑)
「いい曲は受け継がれるということですか?」
 ー何が普遍かって考えたほうが逆にいいかもね。時代を読んだり、先読みしたりさ、
  予測したりいろいろ考えるんだけれども、普遍的なものを創り出した方が、売れ
  るしお金になる。お金になるっていうのはさ、悪く取らないで。ものすごく現実
  的な評価だと思うんだ。
「わかりました。売れる曲というのは、私は時代を読むことだと思ってまして、マー
ケティングだと思っていたので面白かったです」
 ーマーケティングするとね、なんか良い曲聞いて、あ、こういう曲作ろう、と思う
  でしょ。すると作った人は3ヶ月前には録音してる訳。で、録音する前に、詩と
  曲を書いている。だから出来る前に半年以上ある。で、それに自分が影響されて
  作るとやっぱり(世間に流れるまで)半年はかかる。すると最初に作った人から
  一年は遅れる。この一年の遅れって決定的なのね。だからマーケティングって歌
  作りにはほとんど意味がない。それより、やはり自分のアンテナを常に磨いてい
  れば、どんなに時代が変化しても、それに対応できる。アンテナを磨くってどう
  いうことかって言うと、感受性を鋭くする。そしたら時代がどんなに変化しよう
  とも対応できる。それも自然体でね。すると時代とタイムラグがない。
「ありがとうございました」
どうもありがとう。良い質問だったね。


次回、4人目のゲストはスガシカオ。さらに5人目は矢野顕子だそうで、今後も
楽しみなプログラムです。


 ←ゲストさだまさし(Vol.3・Vol.4)ゲスト スガシカオ(Vol.7・Vol.8) →



テーマ:NHK - ジャンル:テレビ・ラジオ

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://tatevision.blog34.fc2.com/tb.php/107-51ff8ac4
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。