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アニメ あの夏で待ってる 最終回 …8mm・映画とフィルム…

2012,3,28深夜放映 サンテレビ

「あの夏で待ってる」12話(最終話) 感想

「自主制作映画を、それも8mmを扱ったアニメ作品がある」と聞きまして、
興味津々で視聴開始。
視聴対象の年齢層には少々オーバーしているようで(笑)、観ていてムズガユ
クなることも再三ありましたが、まあ楽しく観ることが出来ました。

当ブログ管理人も、実は学生時代に自主映画、やってました。楽しかったで
すねぇ。8ミリというメディアは当時(80年代後半から90年代前半)既にもう
ビデオカメラの台頭で衰退しておりましたが、フィルムを扱い映画を撮る、
という行為が楽しくて。「映画ごっこ」だったかも知れませんが、ワクワク
する作業でした。


この「あの夏で待ってる」でも、主人公の高校生たちは8ミリを用いて夏休
みに映画を撮ります。ヒロイン役になる転校生の先輩は実は宇宙人で・・・
というライトコメディですが、ボーイミーツガールものですからキュンキュ
ンくる描写も当然あって、青春ものの佳作として未見の方にもオススメ出来
ます。特に自主映画やってた人は是非(笑)。
主人公のキャメラはフジカシングル8 P300。檸檬センパイはZC1000だ!。
エディターや試写風景に、若者には感じることの出来ない懐かしさを覚える
ことでしょう(笑)。

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しかし、本作品の時代設定はいつなんでしょうか?デジタル機器が浸透して
いる現代、高校生が8ミリを使って自主映画を制作するのは、まずあり得な
いでしょう。現代の必須アイテム、携帯電話も一切出てこない。それを考え
ると私が8ミリやってた頃、80年代後半から90年代前半ぐらいなのかも知れ
ませんが、背景の街並みや自動車はあの頃っぽくない。主人公の眼鏡、下だ
けフレームの逆ナイロールもあの頃らしくないし。
あえて製作サイドは曖昧にしたのかも知れません。



ですが、それよりなによりこの作品が2012年に製作された、ということに
一種の感慨を持って観てしまいます。


一昨年、昨年と好評だった『午前十時の映画祭』ですが、今年も第3回が開
催されています。しかし、もう今回でひとまず終了だそうです。

これは、全国の映画館のデジタル化が急速に進んでおり、新作映画の劇場上
映はデジタルデータによって配信され、デジタル・プロジェクターで上映す
る方式が主流となっているから。今年中には日本各地の映画館のほとんどが、
デジタル上映方式になるそうです。
ですから、懐かしの名作も、フィルムによる上映はもう出来なくなる。


製作サイドも、デジタル化は進んでいます。日本では映画の撮影でも現在は
デジタルが半分以上とのことで、撮影時にもフィルムは使われなくなってき
ています。


「映画=フィルム」
当然のようだったこの図式も、もう成り立っていない状況なのです。


あの頃、私たちがビデオよりも8ミリで自主映画を撮ることを選んだのは、
何より「フィルム」に映画を感じたから、というのが大きく作用していまし
た。映画とはフィルムで撮られるもの、それが当たり前でした。

懐古厨になるつもりはありません。デジタルの方がクリアで劣化しない映像
を楽しめます。より創り手の意図する映像を受け取れるでしょう。創り手の
側からも、多くの利点があることは容易に理解出来ます。

でもね、、、。
やっぱり、寂しいんですよぅ。
カタカタ廻る映写機。学生の頃、大阪梅田にあった名画座「大毎地下名鑑」
は映写室が無く、映写機がロビーにむき出しだった(笑)。1階席はフラット
な床にパイプ椅子でしたから、新参者はよくスクリーンに影を映してた(笑)。
あそこで映写機を見るのも楽しみの一つでした。

名画座はフィルムの傷も多く、数コマ飛ぶこともしょっちゅう。
「2001年宇宙の旅」をリバイバル上映で観た時、突然画面が止まり、「?」
と思ったら熱でフィルムが溶け、画面がグニャァ…なんてこともありました。

そういえば、正直ジャマなこともあったあの右上のパンチマークも、最近は
無くなってる?んでしょうね。「刑事コロンボ」のアリバイも、「ニュー・
シネマ・パラダイス」の切なさもなくなってしまうんだ・・・


いかん。
どーみても懐古厨だ(笑)。

とにかく、映画とフィルムとの関係に、一つの区切りが付けられようとして
いるこの2012年に放映されたアニメ作品で、主人公たちが「8mm」という
フィルムメディアを使って作品を残そうとしていた。というだけでもう、こ
の作品に愛おしさを感じてしまうのです。


ちなみに、8ミリの現在ですが。
富士フイルムから発売されていたシングル8用フィルム(フジクロームR25N)
も今月(2012/03)の最終出荷にて販売終了(現像サービスは来年9月で終了)。
ですが、「レトロ通販」という専門店が独自にフィルム販売、現像も継続し
て行っていますので、どうしても8ミリを使いたい方はこちらのショップを
利用すれば、まだ8ミリで撮影出来ますね。

レトロ通販
http://film.club.ne.jp/






以下、自主制作映画を題材・舞台にした小説・マンガ等をリストアップして
みました。


「あどりぶシネ倶楽部」(全1巻)
 細野不二彦:作 小学館ビッグコミックス (1986/08)(文庫版(2001/03))
8ミリ、大学の映研。
当時、自主映画をやってた人の殆どはこれを読んでたでしょーね。


「クランク・アップ」
 橋本浩:著  小学館 (1997/10)
第14回パレットノベル大賞受賞作。8ミリ、高校2年生。


「サマロブシネマ―SUMMER OF CINEMA」
 西田俊也:著  小学館 (1998/07)
1975年、夏。文化祭で8ミリ映画を撮ることになった高校生たちの恋と友情。
オススメです。


「映写機カタカタ」
 吉増茂雄:著  マガジンハウス (1999/04)
第5回坊っちゃん文学賞大賞受賞作。8ミリ、大学の映研。


「虹の女神―Rainbow Song」
 桜井亜美:著  幻冬舎文庫 (2006/09)
同題映画作品の原作。8ミリ、大学の映研。
映画が結構良かったんですが、この小説版8ミリに関する記述が無茶苦茶で、
8ミリを知っている方には興ざめかと。「フジ(シングル)のカートリッジに、
コダック(スーパー)のフィルムを詰め替えて使う」という上級者テクを用い
る下りがある(当時、私も「スゴい人はそんな裏技を使うらしい」と聞いて、
感心した覚えがありました)のですが、これは映画版プロデューサーの岩井
俊二が8ミリ時代に実際やったことの模様。そんなマニアックな描写もある
のに、8ミリカメラをビデオカメラと勘違いしているかのような記述がされ
ているのが残念すぎます。


「 [映] アムリタ」
 野崎まど:著  アスキー・メディアワークス文庫 (2009/12/16)
DV、芸大生。
ライトノベルな文体で、てっきり明るい青春ものだと思って読んでいたら、
実はかなり衝撃的なミステリーでござった。いい意味で呆気にとられ、裏切
られました。。。天才が造りし絵コンテ。それを基にした映画とは・・・


以上は既読、未読のマンガ作品ではこんなのもあるそうです。

『いちご100%』 河下水希 集英社マンガ(全19巻)、アニメ化
『群青シネマ』 都戸利津 白泉社花とゆめCOMICS(全2巻)


ここを読まれている方で、他にも自主映画を扱った小説、マンガなどの作品
をご存知でしたら、是非教えて頂きたく、お願い致します。



【あの夏で待ってる キャスト(声の出演)】

貴月(たかつき)イチカ〈声:戸松遥〉
 …1学期の終わりに留学生として現れた少女。記憶に残る原風景を探している。
 映画制作ではメインヒロインであり、地球を訪れた宇宙人の役を演じる。
霧島 海人(かいと)〈声:島崎信長〉
 …主人公。1年B組に所属。両親は他界し姉の七海と二人暮らし。妄想癖あり。
 祖父の遺した8mmカメラでの撮影が趣味。映画制作では撮影兼イチカの相手役。
谷川 柑菜(かんな)〈声:石原夏織〉
 …海人のクラスメイト。明るく活発。海人をかなり意識している。
石垣 哲朗〈声:荻原秀樹〉
 …海人の親友で柑菜の幼馴染。身長が高く、ルックスも上々のモテ男。柑菜に
 片想いしながら、それを隠して海人との仲を応援している。
北原 美桜(みお)〈声:阿澄佳奈〉
 …海人のクラスメート。柑菜の親友。清楚かつグラマラスな美少女だが、性格
 は引っ込み思案。哲朗に惹かれているが、彼の柑菜への想いも察している。
山乃 檸檬(やまの れもん)〈声:田村ゆかり〉
 …高校3年生でイチカのクラスメイト。小柄でツインテール。他の生徒とは違う
 制服を着ている。かなり策士で「うふふ」が口癖。高級8mmカメラ(フジカZC
 1000)を愛用し、映画制作ではいつのまにか製作総指揮。
りのん〈声:日高里菜〉
 …イチカがペットとして飼っている謎の生命体。「なっ」。

霧島 七海(ななみ)〈声:久川綾〉
 …海人の姉。海外出張することとなり、イチカに海人との同居生活を勧める。
小倉 真奈美〈声:大浦冬華〉
 …哲朗の姉。既婚だが夫とケンカする毎に帰省しては哲朗に面倒をかけている。
樹下 佳織(きのした かおり)〈声:茅野愛衣〉
 …沖縄で偶然再会した海人の小学校時代の友人。
有沢 千春〈声:井口裕香〉
 …佳織の友人。哲朗に一目惚れした。
貴月 エミカ〈声:堀江由衣〉
 …イチカの姉。イチカを連れ戻しに来るも海人との仲を知り残留に協力する。
小倉 聡(おぐら さとし)〈声:川田紳司〉
 …真奈美の夫。

【スタッフ】
原作:I*Chi*Ka
監督:長井龍雪
脚本:黒田洋介
キャラクター原案:羽音たらく
キャラクターデザイン:田中将賀
メカデザイン:海老川兼武
美術監督:川本亜夕
音楽:I've sound/井内舞子
チーフプロデューサー:大澤信博
プロデューサー:小倉充俊、川上竜太郎、松倉友二
プロデュース:GENCO
アニメーション制作:J.C.STAFF
製作:なつまち製作委員会


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テーマ:アニメ・感想 - ジャンル:アニメ・コミック

ドラマ 最後から二番目の恋 最終回

2012,3,22放映 フジテレビ系列

『最後から二番目の恋』第11話(最終話)「まだ恋は終わらない~最終回」感想
全話通して楽しく視聴しました。2012年1月期では文句無しに一番の出来。

観始めた頃は、「古き良き頃のトレンディドラマみたいな感じ?」な印象が。
キャラクターの相関関係とか、何より主人公がテレビ局プロデューサーって
いう設定にそう感じたのかも(笑)。
ひょっとして、初期コンセプトに「あの頃のトレンディドラマの登場人物が
二十数年、年齢を重ねたら…」なんていう発想があったりして。

でも実際、この作品は最近のドラマにはない吸引力に満ちていました。
魅力あるキャラクターたち、惹き付けられる会話・セリフ。優れたシナリオ
にキャストもノリにノッて演じたであろうと想像出来ます。



「歳を取るのは素敵なことです そうじゃないですか~」
と歌ったのは、中島みゆきでしたが(笑)。

そう思うことが出来るドラマだった、と思います。

もう若くない、それどころか老いを感じることが多くなって来た年頃。そん
な世代の愛しくて、ちょっと切なくて、あまり冴えないけど、微笑ましい。
そんな恋物語に私がハマったのも同世代だからこそかも。
恐らくは若い世代の方々には、ピンとこないと言うか、人ごとな感じだった
かも知れませんね。30代後半から50代前半の方々には、訴求力のあるドラマ
だったと思われます。
でも、ひょっとしてあの女子会三人衆の会話など、リアルで自虐的に感じら
れて、同世代でも女性の方々には反発されることになったかも・・・


とにかく主役二人がバツグン。小泉今日子演じる千明は、まーオットコ前。
こんな人、いますよねえ(笑)。飲み友達との女子会は、バブル時代を未だに
引きずった方々、って感じで可笑しくて。キョンキョンもすっかりオバサン
なお年頃ですが、結構いい歳の取りかたをされてるんじゃないでしょうか。
和平を演じた中井貴一はさすがの演技力。こういうコミカルな演技も巧いで
すね。基本ヘタレなんだけど(笑)、一家を懸命に支えようとしている50歳の
長男を好演。千明とのケンカ一歩手前な会話の応酬はかなり笑えました。あ
れはかなりアドリブ入ってそう(笑)。その中にも、スッと重みのある一言が。
巧い。

内田有紀はそういうキャラで来たか(笑)。「ずっと大切にしてたんだけど可
愛がりすぎてボロボロになっちゃって、お母さんには捨てろって言われるん
だけど、捨てられないぬいぐるみみたい」で、仕事している姿は「ラッコ」
か「アライグマ」。
形容が絶妙すぎます(笑)。

形容が絶妙と言えば、和平の部下、ツンデレな大橋知美は散々な言われよう。
「子ども顔!アニメ声!」「座敷童」「お菊人形」「金太郎」・・・
演じてる佐津川愛美がヘコまないか心配になりそうです。



恋愛ドラマといえば、十代の初恋模様、若者がベクトルやアクセルブレーキ
を間違い迷いながらの青春像、大人たちの甘く危険な香りがするラブサスペ
ンス・・・といったものが殆どだと思います。
その中で、本作のような4,50代の大人がドロドロしていない、普通の生活の
中でのささやかな交流を描く、というのは連続ドラマとして企画するに勇気
がいったかも。

劇的な急展開や進展が無くても、登場人物のフツーな(いや、少々ファンキー
ではあるか(笑))日常を描くだけで、こういう面白いドラマとなる。
秀逸な脚本、しっかり作り込まれたキャラクター。それらをしっかり理解し
た演じ手が役を自分のものとして演じる。
文句無しに堪能出来た上質な大人のドラマでした。
ロケ地の鎌倉の風景も、そんな落ち着いた大人のドラマによく合っていまし
たね。


さて、この最終回のラスト。
恒例のスナップ写真が無かったのは少々残念でしたが、千明と和平がいつも
の感じな会話の流れで、一応は告白しちゃってました。
そこで、「また、いつかどこかで・・・」のメッセージが画面に。

これは続編があるかも、ってこと?
千明と和平のその後。見たいよーな、見たくないよーな・・・(笑)。
果たして、二人は言いたいことを言いあえる恋人同士になっているのか?
それとも、単に相性が悪いだけだったのか?(笑)。
もしかしたら、また本作品の愛すべきキャラクター達に会える時が来るのか
も知れません。




【 最後から二番目の恋 キャスト 】

吉野千明 (45):小泉今日子
 …テレビ局ドラマプロデューサー。女友達と鎌倉の古民家に住む約束をするが、
 結局一人で長倉家の隣家に引っ越して来る。
長倉和平 (50):中井貴一
 …鎌倉市役所観光推進課課長。四人兄弟の長男。親を早くに亡くし、弟妹の親代
 わりであった。妻とは死別、シングルファーザーとして一人娘を育てている。

▼長倉家
長倉真平 (35):坂口憲二(幼少期:内田陸斗)
 …長倉家の次男、万理子とは双子。独身。自宅を改装したカフェを経営。
長倉万理子 (35):内田有紀(幼少期:久家心)
 …長倉家の次女、真平の双子の姉。人との付き合いが苦手で転職を繰り返す。
水谷典子 (45):飯島直子
 …長倉家の長女。専業主婦。一児の母。頻繁に長倉家へ遊びに来る。
長倉えりな (11):白本彩奈
 …和平の一人娘。大人びており、父親との会話はそっけない。
 
▼JMTテレビ
三井:久保田磨希
 …千明が一番頼りにしているAP(アシスタント・プロデューサー)。
武田 誠:坂本真
 …千明についているコ・プロデューサー。
飯田ゆかり:広山詞葉
 …千明の元で働くセカンドAP。
栗山はるか:益若つばさ
 …新進気鋭の若手脚本家。脚本の仕上がりが遅いのが千明の悩みの種。
 
▼鎌倉市役所観光推進課
田所 勉:松尾諭
 …長倉和平の部下。かなりのお調子者。
大橋知美:佐津川愛美
 …和平の部下。母親と和平の見合い話が出ると、自らも和平に告白する。
 
▼その他
荒木啓子:森口博子
 …千明の独身仲間。出版業界で働く。
水野祥子:渡辺真起子
 …千明の独身仲間。音楽業界で働く。
水谷広行 (53):浅野和之
 …典子と歳が離れた夫。出会い系サイトの利用が典子にバレて、喧嘩になる。
水谷しょう:田中碧海
 …典子と広行の一人息子。
大橋秀子:美保純
 …知美の母親。夫は他界し娘と二人暮らし。
一条:織本順吉
 …和平に再三の文句を言うクレーマー爺さんだが、和平のことは気に入っている。


【スタッフ】
脚本:岡田惠和
音楽:平沢敦士
主題歌:浜崎あゆみ「how beautiful you are」
演出:宮本理江子(1,2,3,6,8,10,11話)、谷村政樹(4,7,9話)、並木道子(5話)
プロデューサー:若松央樹、浅野澄美(FCC)
製作著作:フジテレビ




テーマ:ドラマ感想 - ジャンル:テレビ・ラジオ

「それからの海」など3本の震災ドラマを観て

2012,3,3放映 「それからの海」(NHK総合)
2012,3,4放映 「明日をあきらめない…がれきの中の新聞社~河北新報
        のいちばん長い日~」(テレビ東京系列)
2012,3,6放映 「3.11その日、石巻で何が起きたのか~6枚の壁新聞」
        (日本テレビ系列)



当ブログの「キルトの家」の記事で、私は東日本大震災はドラマの題材とし
て、まだまだデリケートすぎると書きました。
震災を正面から描くドラマはもっと歳月が経ってからだろう、と思っていま
したが、あれから一年を迎える2012年3月、相次いで3本の震災を扱ったド
ラマが放映されました。そこで3本を見比べ、まとめて感想を記したいと思
います。



まずは「それからの海」(NHK)。

手持ちカメラで、演技っぽくない、素人の普通な生活らしき映像。その冒頭
の演出で佐々木昭一郎を思い起こさせます。佐々木昭一郎とは、かつて数々
の名作ドラマを生み出したNHKの演出家で、出演者は殆どが俳優を使わず、
ロケ地の一般人を起用し、手持ちカメラを多用したドキュメンタリー的な作
風が特徴でした。その独特な映像世界は多くの視聴者を魅了し、私も「川三
部作」などは大好きで忘れられません。

震災を描くにあたり、オーソドックスなドラマ的演出ではなく、自然なタッ
チでということでドキュメンタリー的な(佐々木昭一郎的な)絵作りを選んだ
のでしょう。間違いではないと思います。現場の空気感がよく出ていました。

多くの人の命を、生活をあっという間に飲み込んでいった津波。海。
それでも、ここに生きる人々はこれからも海と共に、生きていく。

九死に一生を得た女性が、語り部として観光客にあの日のことを語り、漁師
は新たな船を得て、家族に見守られながらまた海へ出て行く。
サイドエピソードとして描かれる現地の人々の強さが印象的です。

脇役の一人、祖父の朝夫も何とも言えない味があって心に残りました。演じ
た運萬治男という方、普段は遠野で農業を営みながら、昔話を語り継ぐ活動
をされているそうで、語り部としての長年の経験からか、その口調、言葉が
魅力ありすぎ。


ですが、メインで描かれるストーリーが今イチしっくりきません。

津波で母を亡くした少女。
そして、三年前にこの海で夫が自殺した。その遺体捜索で世話になった漁師
の安否が気になってこの地を訪れた女性。

彼女たちの物語が、薄い、というか、弱いな、と感じてしまいます。

あえてそうしたのでしょうが、あまりに淡々とした描写で、一青窈が演じる
公子の訪問者としてのキャラが見えて来ません。

公子の息子、司は子供らしい無邪気さで、線路を歩きながら暗記した三陸沿
岸の駅名を諳んじるテッチャンぶりを披露するシーンが、その被害の大きさ
をイメージさせて心に残りましたが、そういうささやかなシークエンスが母
の公子にも何かあれば、もう少しドラマらしくなったように思えます。


エンドロールで分かったのですが、演出は高橋陽一郎。妙に舞台的な演出を
したり、鏡を用いたカットがあったりとか、ちょっと変わった作風の演出家。
大河ドラマ「天地人」でのスポットライト演出、と言えば「ああー」と思い
当たる方も多いかと(笑)。あれはねぇ、批判も多かったので…。
過去には国内外の様々な賞を受賞していますが、最近はその才能も正直、空
回りしているか?




続いて「明日をあきらめない…がれきの中の新聞社~河北新報のいちばん長
い日~」
「3.11その日、石巻で何が起きたのか~6枚の壁新聞」の2本。

共に、現地のローカル新聞社が震災直後、被災者に情報を伝える為にどのよ
うに奮闘したかを描く実話を元にしたドラマです。

「明日をあきらめない…がれきの中の新聞社~」は予想外にテレビ東京が健
闘していましたが、空気感が無さ過ぎたのが残念。登場人物がほとんど標準
語で東北っぽくないし、低予算を感じさせる絵作りの弱さが目立ちました。

キャストは全体的に抑えた演技に徹した印象。変に「創る」ことだけは避け
たかったのでは、と思われます。斉藤由貴も中年おばさんをしっかりと演じ
きっていました。
渡辺いっけい演じる女川販売所所長の登場が唐突で、観ていて一瞬混乱して
しまいました。事前に登場させ、キャラ説明をしておくべきだったのでは?。

とはいえ、原作がある実話を素直にドキュメンタリータッチに描いたドラマ
として、創り手の真摯な姿勢を感じられましたし、全体的に悪くはなかった
です。
辛いのは、阪神大震災において酷似した状況を描いた2年前のドラマ「神戸
新聞の7日間」
を思い浮かべ、比較してしまうところ。あれの出来がとても
良かったので、比べるとどうしても・・・



そして「3.11その日、石巻で何が起きたのか~6枚の壁新聞」ですが、、、
うーん。
正直言って、失敗作では。

津波を描くにあたり、実際の映像を挿入。さらには俳優の演技と合成させて
いました(またその合成がイマドキにしては陳腐…)。
あの震災の映像を「素材」としてドラマに用いる。
これには、どうしても違和感を感じずにはいられません。
あと、コマーシャルの入れ方が乱暴すぎ。こんなにヒドいCM割りはそうそう
お目にかかれないほど。



前述しましたが、私はドラマの題材として、東日本大震災は未だデリケート
すぎると思っています。じゃあ、何年経ったらいいんだ? と聞かれても、
答えは分かりません。

過度な自粛ムードは必要ない。でも、安易に震災ドラマなんて創って欲しく
ない。


NHKスペシャルで、4日に「東日本大震災 映像記録 私が見た3.11」、
5日に「38分間~巨大津波いのちの記録」が放映されました。
どちらも素晴らしいプログラムでした。あまりに強烈な現実の映像。あまり
にも過酷な被災した人々の記録。TVの前で何度も息をのみ、絶句しました。

この壮絶な現実が持つ力に、フィクションがかなうはずもありません。

じゃあ、ドラマという「作りもののおはなし」は、どうやってこの大震災と
向き合い、関わっていけばいいのだろう?


とても難しい問題です。
簡単に答えは出せないと思います。

実際にドラマの制作に関わっている方々も、おそらくは自らに問いかけ続け
ていらっしゃるのでは、と思いますが、願わくば答えを早急に導き出すこと
無く、じっくり考え、納得のいく答えとして、作品を生み出して欲しい。
ドラマファンとして、そう願っています。

阪神・淡路大震災から15年を経て、「その街のこども」という傑作も生まれ
ました。いつか、東日本大震災をテーマにしたドラマでも秀作が生み出され
ることでしょう。





【それからの海 キャスト】
 
岩手県田野畑村の皆さん
谷口一香 :橋本麻由…田野畑中学校の一年生。母を津波で亡くした。
谷口喜一 :三浦誠己…一香の父。漁師。船は流された。
谷口朝夫 :運萬治男…一香の祖父。
近藤公子 :一青窈 …かつて世話になった喜一たちを心配し、田野畑を訪れる。
近藤 司 :津波古太輝…公子の息子。てっちゃん。
北上 保 :鍋山晋一…ボランティアで田野畑に滞在している青年。
漁師 :藤澤信泰

【スタッフ】
原案:吉村 昭「漁火」
作:櫻井 剛
音楽:松本俊明
制作統括:菓子 浩
演出:高橋陽一郎
==============================




【明日をあきらめない…がれきの中の新聞社
      ~河北新報のいちばん長い日~ キャスト】

武田真一:渡部篤郎 …河北新報 編集局報道局長
丹野綾子:小池栄子 …河北新報 編集局報道部記者
中島英一:金山一彦 …河北新報 深沼販売所所長
中島百合子:斉藤由貴  …英一の妻 
鹿又久孝:田中要次 …河北新報 編集局報道部次長
武田俊郎:長谷川朝晴 …河北新報 編集局報道部記者
原谷守:小木茂光 …河北新報 編集局整理部長
荒浩一:宇梶剛士 …河北新報 営業本部販売部長
佐藤純:伊藤正之 …河北新報 総務広報部長
渡辺龍:戸次重幸 …河北新報 志津川支局記者
菊池道治:鶴見辰吾 …河北新報 気仙沼総局長
阿部喜英:渡辺いっけい …河北新報 女川販売所所長
一力雅彦:中原丈雄 …河北新報 社長
太田巌:西岡徳馬 …河北新報 編集局長
中島一清:小柳心 …中島家の長男
中島大夢:佐野和真 …中島家の次男
中島慶:水野真典 …中島家の三男
中島二千華:北村燦來 …中島家の長女
ナビゲーター:池上彰

【スタッフ】
原作:「河北新報のいちばん長い日」(河北新報社著 文藝春秋刊)
脚本:横幕智裕
監督:千葉隆弥
チーフプロデューサー:福田裕昭、岡部紳二
プロデューサー:鈴木亨知、浅野太、齋藤智礼
制作:テレビ東京
制作協力:ダイナマイト レボリューション カンパニー
プロダクション協力:スタジオブルー
==============================




【3.11その日、石巻で何が起きたのか~6枚の壁新聞 キャスト】

▼石巻日日新聞の社員たち
平井美智子:戸田恵子 …報道部デスク
水沼幸三:AKIRA …記者
横井康彦:渡部豪太 …記者
秋山裕宏:袴田吉彦 …記者
外処(とどころ)健一:長嶋一茂 …記者
熊谷利勝:桝太一 …記者
武内宏之:柄本明 …報道部長 
近江弘一:中村雅俊 …社長

秋山知絵;黒谷友香 …秋山の妻      
水沼のり子:多岐川裕美…水沼の母親
水沼健一:勝野洋…水沼の父親
外処君男:市川左團次…外処の父親
平井静江:吉行和子…平井の母親
炊き出しの女性:馬場典子
語り:小林清志

【スタッフ】
脚本:青柳祐美子
企画原案:角川SSC新書「6枚の壁新聞」(角川マガジンズ刊)
テーマ曲:山下達郎「希望という名の光」
プロデューサー:西川宏一(日テレ)、藤井裕也(AXON)、菊池淳夫(東映)
総合プロデューサー:岩間玄(日テレ)
監督:近澤駿
協力:東映東京撮影所
制作協力:ローリング
製作著作:日テレ
==============================





テーマ:ドラマ感想 - ジャンル:テレビ・ラジオ

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